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君との日常 2

「そんなことより、今日、放課後一緒に、隣街のいつものファミレスついてきてくれないか?」 (そんなことって、お前が振ってきた話題なんだけどな)  と心の中でツッコミを入れながら、 「別にいいけど」  と素っ気なく返事をした。 「ホントにっ? ありがとう、荒玖! 今日、そのファミレスでケーキ食べ放題のイベントがあるってネットで見たんだ。それで、もう一人仲良くしてる部活メンバーに声をかけたんだけどちょっと無理って断られるし、一人では入りづらいしで困ってたんだよ。だからすごく助かる!」 「一人って、部活メンバーは他にもいるだろ? 女子とかケーキっつったら喜ぶんじゃないか?」 「女の子と入るのは勘違いされそうだし、他のメンバーの男子は断るのわかってるからなぁ……」  渚は苦笑してから肩をすくめた。  まぁ、確かに女子はスイーツとなると喜ぶだろうが、周りにいろいろと勘違いされそうだし、男子は甘味ってだけで嫌がるやつもいるだろうな。 「とにかく、放課後はよろしくな。お礼に何か奢るから」  そう言って渚は俺に両手を合わせてお願いしてくると、花が開くようにふわりと微笑んだ。  その笑顔に一瞬ドキリと心臓が跳ねて、バレないようにさり気なく顔を横に逸らす。  この笑顔に、俺は弱い。  渚が向けてくれる警戒心のない微笑みが、俺にとっては一番のご褒美だったりする。 「お、礼とか……気にしなくていいから……」  何とかその言葉だけを絞り出すと、飲んでいた紙パックをゴミ箱に捨てに行くために立ち上がった。  渚はそんな俺の後ろを、慌ててトテトテとついてくる。 「いやいや、本当に感謝してるからお礼したいんだってば」 「そうかよ。じゃあなんか考えとく」 「うんっ」  元気に頷いて嬉しそうに微笑む渚の顔にふと影が差して、ぼんやりした顔で額に手を当てて小さく息を吐き出した。 「大丈夫か?」  そんな仕草に、俺は首を傾げながら声をかける。 「あー……うん。大丈夫っ」  いつものように微笑むその笑顔に僅かに違和感を覚えたが黙っておくことにした。  渚が言いたくないのなら、無理に聞くべきではないだろうし……。  そう自分に言い聞かせ、気になる気持ちを押し込むと、そのまま二人で教室に戻った。

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