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君との日常 3

 放課後。  俺は帰り支度を済ませてから、渚のいる特例(トップ)クラスに急ぐ。  足取りは軽くて、心は少しばかり浮かれている。  自分でもなんて単純な人間なんだろうと呆れるくらいには。  この空海島には学園が一つしかなく、エスカレーター式になっており、小学生から高校生まで通学することが出来る。  大学の授業も受けられなくはないが、その場合は空海島を出ていく人が殆どだ。  一つしかない上にエスカレーター式なだけあって人数も多く、敷地も広いので、初めのうちは校内で迷子になるという生徒も多い。  そしてこの学園は普通クラスと特例(トップ)クラスがあり、試験の点数に応じてクラス分けがされている。  普通クラスは試験の点数に関係なくどの生徒も入れるようになっていて、特例(トップ)クラスは年に二度ある特別試験である程度の成績を収めることで入ることができる。  更に普通クラス、特例(トップ)クラスともにA、B、Cと三つにクラス分けがされている。  Aクラスが頭がいい生徒の集まりで、Cクラスが一番下位という扱いのスクールカーストが出来ており、かなり成績依存な学園だった。  その中でも渚は学年一位の成績をずっと収めていて、特例(トップ)クラスのAクラス所属だったりする。  俺の方は一応普通クラスのBクラスに所属していて、表向きは成績は普通という扱いだが、実際は特例(トップ)クラスに馴染みづらいからと無理を言って普通クラスに通わせてもらっているという事情があった。  こういうところで融通が利くのが成績優秀者のいいところなのだ。 「まぁ、渚と一緒のクラスの方が本当は嬉しかったんだが、あそこはギスギスし過ぎなんだよな……」  空気が硬いというか、重いというか。  外から見たら感じないのかもしれないが、俺にとっては居心地が悪くて仕方ない。

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