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ガイドセンターへ

「ガイドセンターではまず、君たち二人の名前や年齢とかを書いてもらったりするね。書けるところだけでもいいから。ただ、出来るだけ記載してくれると助かる」 「書けるところだけでいいのか?」 「うん。でも、名前だけは必ず書いてもらうけどね」  レオははいたずらっ子のように笑うと、宙を指で叩いた。  その瞬間、叩いた空間から半透明の画面が現れる。  画面はロック番号を打つためのものと指紋認証用のものがあって、レオは慣れたように画面にあるキーボードでパスワードを打ち込んでいく。  入力を終えると「指紋認証をしてください」と画面に表示され、その指紋認証用の画面にレオが指を近づけた。  承認という文字が出て、画面が切り替わり、ズラズラと大量のアイコンと時計が出てくる。  時刻は10:40と表示されていた。  時間の表記も俺達の世界と同じらしい。  レオはアイコンの一つをタップして受話器のような形をしたボタンを押す。  どこかに電話をかけるのだろうか。  表示されていた画面が切り替わり男の姿が映し出された。  渚と同じ茶色の髪は毛先だけが外に跳ねており、長めの前髪が切れ長の目にかかって深い翠色の瞳をさらに際立たせている。  無駄な肉がなくすっとした端整な顔立ちは、男の俺でも一瞬見入ってしまうほどキレイで、多分こういうのをイケメンと言うのだろうななんて心の片隅で考えてしまった。  渚も顔立ちは端整で無駄な肉がなくスッキリしているが、まだ幼さが残っている感じで、どちらかというとかわいいの部類に入るだろう。 『レオ、連絡が遅かったじゃないか。何してたんだ』 「ごめん、見つけるのに手間取っちゃって。それよりトウリ、表の扉のロック解除お願いしていいかな?」 『それよりって……まぁ、いいわ。……ほら、ロック解除したから入ってこい』  そんな短い会話を終えて画面の電話は切れた。  レオは俺たちに向き直ると、 「それじゃあ、行こうか」  と声をかけてから、颯爽と歩き出す。  俺と渚は顔を見合わせて頷き合うとそのあとに続いた。  俺がレオの隣に並ぶと何かに気づいたのか「あ、そうだ」と声を上げてこそっと話しかけてくる。 「ねぇねぇ、聞いていい?」 「なんだ」  俺は無表情のままそっけなく返事を返すが、レオはいたずらっぽく笑みを浮かべて俺の方に顔を近づけると、更に小声で話しかけてきた。 「スザクは……ナギサのこと、好きなの?」

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