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LPシステムと世界の仕組み

「おい、リル。とりあえずさっさとガイドしてくれると助かるんだが」 「しゃーねーなーっ! そんなに頼られちゃ俺様も鬼じゃねーからガイドしてやるよ!」 「…………」  殴りたい気持ちを何とか呑み込んで、無表情で黙り込んだ。 「リル、態度がデカ過ぎる。荒玖も渚も異世界人で、右も左も分からず不安なんだ。もっと優しく対応してあげてほしい」  流石に見て見ぬフリが出来なかったのか、冬季が横からリルに注意してくれる。  そのお咎めにリルは唇を尖らせるが、しゅんと項垂れて宙で正座した。 「二人とも、リルも久々のガイドの仕事で嬉しいんだ。出来れば大目に見てやってほしい」 「わかった……」 「俺はあんまり気にしてないけどな」  渋々頷く俺とは反対に、渚は特に気分を害した感じはなく、いつも通りの人懐っこい笑顔でそう返事を返した。  渚のこういう心の広さは、俺にとっては羨ましくなるくらいの長所だ。  自分で言うのもなんだが、ちょっとしたことでカチンと来てしまうタイプなので、どうしたら渚みたいになれるのか是非とも教授して頂きたい。  引きずらない性格ではあるけれど、表情に出さないだけで、(はらわた)が煮えくり返りそうな時も結構あったりするのだ。 「とりあえず、一番大事なことから説明していくな」  さっきまでの態度は鳴りを潜めて大人しく説明を始めるリルに、俺も一先ず黙って聞くことにした。 「お前たち二人のいた世界がどうかは知らないが、この世界には魔法が存在するんだ」 「俺たちのいた世界にも魔法は存在したよ。と言ってもファンタジーであるような何でも出来るものってわけじゃないけど。俺は呪術士っていってちょっと特殊な立場の人間なんだ」  リルの言葉に渚がわかりやすく向こうの世界の説明をする。  うん、俺は相性も悪いし、リルとの話は渚に任せておいてもいいかもしれない。 「そうなのか。違いはわからないけど、こっちの世界では魔法を使うにあたって一つだけ制約が存在するんだ」 「制約?」 「おう、LPと呼ばれる魔法を使うための魔力ゲージみたいなシステムがあるんだ」  リルは宙を小さな指でコツっと叩く。  そうすると俺と渚の前にあった画面が別の表示に切り替わった。  その画面にはLPについてという文字とズラリと並ぶ説明文が映っており、下に三ページというページ数の表示がされていた。

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