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LPの回復方法 2

「本当は魔法を使う前に教えるべきだったのかもしれない。でも、先にそれを話したら二人は協力してくれないかもって思うと、言い出せなかった……騙すようなことをして、本当にすまない」  冬季はそう謝罪の言葉を口にしてから俺と渚に頭を下げた。 「か、顔を上げてくださいっ」  渚が眉尻を下げて慌てて声をかけるが、冬季は頑なに頭を上げようとしなかった。  申し訳ないと本気で思ってくれているのかもしれない。  事実、それを先に聞かされていたら俺も街を救うことに協力したかは怪しい。  俺たちが協力しなければ、今ごろカストレアにはアルドウルフが押し寄せて、大変なことになっていたと思う。  でも、冬季に対して怒っているかと聞かれるとそれもまた、俺の中では違った。 「冬季、顔を上げてくれ。頼む」  静かに発した俺の声に冬季はゆっくり倒していた上半身を起こした。  その表情はとても痛々しくて、謝られているはずのこちらが申し訳なくなるくらいだった。  こんな顔をされたら、責めるなんて出来るわけがないじゃないか。 「怒ってない。とりあえず、えっと……LPを回復するには、同性と、しろってことだな? ここは間違ってないんだよな……?」 「あぁ」 「えっと、どうしてもしないと、ダメなのか? そういう処理ってことなら、普通に自分でするとか出来るじゃないか」 「それは俺も試したことがあるが、無理だった。LPの回復条件の一つは相手の体の中に出すことらしい」 「…………」  予想通りの返答に心の中でため息を漏らしつつ、隣にいる渚を横目でチラリと見た。  困ったように口を噤む姿に、話しかけるなんて出来なくて。  でも俺は、多分…………いや、とてつもなく、期待している。  そんなこと、起きないってわかっているのに。  それでも……もしかしたら……渚と……。 「……っ、……ふ、ぅ……っ」  一瞬脳内を過ぎった考えに息を呑む。  呼吸が乱れそうになる。 (落ち着け。落ち着け……。そんなの、ない。そんなのは……違う……)  必死にそう自分に言い聞かせて、なんとか激しくなる鼓動を抑え込んだ。 「それで、俺的には……どうせそういうことをするなら、知り合い同士の方がいいんじゃないかと思ってるんだ」 「…………は?」  俺の考えを読んだかのように、タイミング良く冬季がそんなことを言い出した。 「確かに、同性であれば誰としても回復出来る。でも、知らないやつとやるくらいなら、俺は心を許せる相手とした方が安心できると考えてる」

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