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リルの事情
「出来ればLPを分けてほしい」
「……は?」
リルのその言葉に先程までの怒りが一気に霧散した。
「だーかーらーLPをくれないと話が出来ねーって言ってんだよっ」
理不尽に怒られてしまうが、そう言えば先程レオが、ファームは長時間外に出ていられないというようなことを言っていたのを思い出す。
「いや、一旦帰ればいいだろ?」
「一日は出てこれなくなる。だから、聞きたいことあんならLPを分けろっ」
ガイドセンターはなんでこんな面倒くさいものをガイド役にしてるんだろうか……。
「とりあえず、分ければいいのはわかった。でも、どうやって分けるんだ?」
「チューしろ」
「…………は?」
いつも唐突にとんでもないことを言い出すやつではあったが、ここまでくると流石に自分の耳を疑った。
道理としてはキスでLPを分けられるというのはわからなくはない。
ただ、どうにも抵抗がありすぎて眉間に皺が寄ってしまう。
「明日でいい。帰ってくれ」
「なんでだよー! チューが嫌なのかよー! 減るもんじゃなし、いいだろー!」
ギャーギャー喚くリルに額を押さえて頭痛に耐える。
そんな俺とリルの間に渚がふるふると手を振って会話に割り込んできた。
「俺がやるよ。荒玖のLPについても聞きたいことがあるし」
「そーかそーか! そんなに俺が必要かっ! よしじゃあナギサ、チューしようっ」
「はぁ!? ふざけんなっ! ちょっと待――」
渚の言葉に嬉しそうにはしゃぐリルの声に、俺ははっと我に返ると慌てて止めに入ろうとした、が。
「んん……っ」
先にリルが渚に口づけをしてしまっていた。
「ふぁ、ぁふ……、んぅっ、ちゅ、んぅ……! リ、んふ……っ」
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