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亀裂
「そう、ホテルに戻ったんだ。櫂くんは、私より紬より、いとこが大事なんだね」
信じていた櫂さんの裏切りに結お姉さんは憔悴しきりソファーから起き上がることが出来なかった。
「卯月さん、四季と子どもたちをお願いしてもいいですか?」
「もちろんだ。任せておけ。ヤスがこっちに向かっている。ヤスと青空がいれば鬼に金棒だ」
彼や結お姉さんのことが心配だったけど、心春と円花をほったらかしにする訳にもいかず。ヤスさんが帰ってくるのを待って、ハンドリムをこぎながら何度も後ろを振り返りながら家に移動した。
「仏の顔も三度までだって卯月さんが。どういう意味なのかなって」
円花にミルクをあげながらヤスさんに恐る恐る聞いてみた。
「深く考えないほうがいい」
「ヤスさん、僕に隠していることがあるなら教えてください」
「世の中には知らなくてもいいことがある。傷付くのは四季だ。それでもいいのか?」
心春を寝かし付けていたヤスさんに聞かれ、
「覚悟は出来てます」
唇を噛み締め、短く答えた。
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