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亀裂

「ママ、ただいま~~」 夕方、両手に抱えきれないくらいのお菓子を抱えて心春がにこにこの笑顔で帰ってきた。 結お姉さんは長身の男性……えっとフーさんかな?ウーさんと顔も背格好も似ているからたまに間違える。フーさんにお姫様抱っこされていた。 「櫂さんが見付かったと警察から連絡が入ったんだ。でもその直後、耳を疑う信じられないことを伝えられて………」 紬ちゃんは彼が抱っこしていた。 「櫂は、結だけでなく、散々世話になっておきながら俺や菱沼組に嘘をつき騙した。そして裏切った。だから会わせる顔がないの一点張りだ」 一緒に帰ってきた卯月さんの言葉に結お姉さんは声を震わせながら泣き出した。 「フー、結をベットに寝せてくれ。そっとだぞ。紬は俺が抱っこするから円花を抱っこしてやれ。一丁前に焼きもちを妬いているみたいだな」 小さなお手手をグーに握りうんうんとりきむ円花の顔を見た卯月さんがぷぷっと笑った。 「円花、パパっておいで。オムツを交換しようか?」 紬ちゃんを卯月さんの手のなかにそっと静かに移動させると、笑顔で円花を抱き上げてくれた。

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