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真山さん
「どうした?」
「誰かに見られているような気がして……どうやら僕の勘違いだったみたいです」
「それならいいが……」
蜂谷さんがチラッと外に目をやった。
「通りの向こう側に建築途中で中断されそのまま放置されているビルがあるだろう。立入禁止にはなっているが、100%幽霊が出る心霊スポットとして巷で騒がれていて、侵入する者があとをたたない。先週ボヤ騒ぎがあったばかりだ」
上を見つめたまま微動だにしない青空さんの肩を蜂谷さんがぽんぽんと軽く叩いた。
「仕事をしよう」
「ハチ、人がいる」
「人だと?」
「3階の窓のあたりだ。真っ昼間から幽霊は出るものなのか?」
「出るときは出るんじゃないか」
蜂谷さんの表情が急に変わった。
「四季、亜優、頭を下げろ!すぐ廊下に出れるようになるべくドアの近くに……」
プシューン。鈍い音がして、その直後、窓ガラスに大きなクモの巣状のひび割れが出来ていた。
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