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二つの顔を持つ殺し屋
待合室で会計を待っている時、お昼のニュースで旧こころやすらぎの被害者救済のため相談窓口を設置したと第一報が流れた。
「そういえばレンは昔、妊婦の腹を切り裂き、胎児を取り出し、その模様をネットで生配信した過去がある。覃や宋の上をいくかなりの変態で、快楽殺人者だ。ソイツが海堂と一緒にいるということは、やはり連中の狙いはベビカズ、ということか」
「海堂に四季を渡してなるもんか。この命に代えても四季は俺が守る」
りりしく引き締まった顔にどきっとしてしばらく見惚れていたら、
「和真に焼きもちを妬かれても知らないぞ」
困ったように苦笑いをされてしまった。その時、男の子を連れた夫婦が待合室に入ってきた。
「あ、ママ。あのひとゆきうさぎのおじちゃんだ。ありがとうってしてくる」
「ちょっと待って」
母親が止めるのも聞かず男の子がニコニコしながらヤスさんに駆け寄ってきた。
「ゆきうさぎのおじちゃん、たすけてくれてありがと」
「いいってことよ。これからは知らない人に声を掛けられても付いていっちゃ駄目だぞ」
「うん、わかった」
「よし、偉いぞ」
ヤスさんが目を細め男の子の頭を撫でていると、
「その節は大変お世話になりました」
男の子の両親が深々と頭を下げた。もしかしてヤスさんの知っている人なのかな?ヤスさんは今まで見たことがないくらい怖い顔をしてほんの一瞬、父親を睨み付けたようなそんな気がした。
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