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二人の顔を持つ殺し屋

「ヤス、コイツ、レンじゃないか?」 もう一人の男の顔を見るなり青空さんが何かに気付いた。 「レンって、もしかしてあのレンか?」 「そうだ。見てみろ、右足が義足だ。背の高さ、細身の女性らしい体つき、眼鏡を掛けてはいるが間違いない。レンティ・シー・イェンだ」 「青空さん、誰なんですか?」 「頭のイカれた殺し屋。いや、殺人鬼だ」 「レンは普段は女の格好をしている。腰まで髪を伸ばしていたが、指名手配され、サツから追われる身となるとばっさりと切った」 「あらやだ。私、この人……知ってるわ」 南先生がぽつりと呟いた。 「タウン誌を配達して歩いている女性がいるんだけど、冬のまんまる雀みたいに防寒着で着膨れてて、顔の下半分はマフラーですっぽり埋もれているのよ。寒がりな女性なんだろうなって思っていたけど、もしかしたら顔を隠して喉仏も隠して男だとバレないようにしていたとか……あり得ないか」 南先生の言葉に、ヤスさんと青空さんの顔つきがガラリと変わった。

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