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二つの顔を持つ殺し屋

「瀧田の女房の出産予定日は来年の四月だ。四季と重ならなくて良かったんじゃないか それもそうだな」 「前向きに考えよう。ヤス、スマホを借りていいか?確認したいことがある」 「いいぞ」 ヤスさんからスマホを借りて何やら操作をはじめる青空さん。 「瀧田の指の動きをずっと目で追っていた。健診予定通り。男二人。例のガイコツの刺青男となぜか移動スーパーの店長がいる。やせ形で見るからに弱そうだ」 「悪かったな、弱そうで。瀧田は俺のことを知らないのか?いや、そんなことはないだろう」 「本当に知らないかも知れないぞ。それはそれでいいことじゃないか?こっちとしては都合がいい」 すっと自動ドアが開いて、さっきの男の子が勢いよくヤスさんめがけて走ってきた。 「おぃ、待て!止まれ!」 止まれと言われても急には止まれない。男の子はそのままの勢いでヤスさんの懐に飛び込んだ。バランスを崩し尻餅をつくヤスさん。アスファルトだからかなり痛いはず。 「ぼうや大丈夫か?」 顔を歪めながらも真っ先に男の子を気遣い優しく声を掛けた。 「親はなにしてんだ。たく、また放置か。車に轢かれたりしたらどうすんだ」 誰も追いかけてこないことにかなり苛立っていた。

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