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僕のお兄ちゃん
彼のスマホがブルブルと振動した。
ーちょっと和真、聞いてないよーー!ー
「姉さんに電話を掛けようと思っていたんだ。ごめん言うのが遅くなって」
ー和真、どういうことだ?ー
「副島?なんで姉さんと一緒にいるんだ?」
ーいや、これには色々と事情があって……ー
コオお兄ちゃんの歯切れが急に悪くなった。
「さては昴と喧嘩でもしたか?」
ーなんで分かったんだー
「何年一緒にいると思っているんだよ。副島が考えていることなど手に取るように分かる」
コウお兄ちゃんはオークポリマーを退職後、丸和電機に再就職した。昴さんは飲食店でアルバイトをしながら再就職先を探しているみたいだった。
ー昨夜、初瀬川さんと仲が良すぎるっていきなり怒り出して。家を飛び出してしまったんだ。そのあと駅前で警察と旧ひかりのみこが衝突しただろう。昴とは連絡が取れないし、心配でいてもたってもいられなくて卯月さんに相談したんだ。そしたら鞠家さんと弓削さんが舎弟さんたちをつれてすぐに駆け付けてくれたんだー
「なんで俺に言ってくれないんだ?」
ーそれはその……四季とイチャイチャタイムだ。邪魔すると悪いぞって卯月さんに言われたんだー
「………」
言いにくそうにコオお兄ちゃんが言葉を返すと彼の頬がみるみるうちに朱色に染まっていった。
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