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僕のお兄ちゃん

「やぁ~~もう、噂通りかあいい!」 「チカ、四季が固まっている」 「そんな訳ないでしょう。初めまして、チカよ。ずっと、ずっと、会いたかったのよ」 ウィンクされ投げキスをされた。心春は口をあんぐりと開けて目をまん丸くしてチカさんを凝視していた。 「朝宮四季です。千里さんにそっくりだから間違えそうになりました」 「あら、ずいぶんと嬉しいことを言ってくれるのね。ありがとう」 Tシャツにミニスカートというラフな格好をしたチカさん。卯月さんから警察官だと聞いて驚き、今は麻薬取締官だと聞いて二度驚いた。 「見えないってでしょう」 うふふとチカさんが愉しそうに笑んだ。 「今だから言えることだけど、ヤスがやくざになったのは妹を探すためだったんじゃないかなってアタシはそう思ってる。顔も名前も分からない妹を、自分の勘だけで見つけ出したんだもの。たいしたもんよ。四季、ヤスは妹思いの優しいお兄ちゃんよ。理不尽な理由で離れ離れになっていたけど、これからはずっと一緒よ。ヤスのこと宜しくね」 「チカ、それ反則だ」 「なんで、なんで。本当のこと言っただけでしょう。あれれ、もしかして照れてる」 「う、五月蠅いな」 図星だったのかヤスさん……じゃない、ヤスお兄ちゃんの顔が真っ赤になった。

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