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慶悟先輩がずっと隠してきたこと
うっそうと生い茂る雑木林にぽっかりと空間が空いていて、槻の木の大木が空へと枝を伸ばしていた。
砂利道だからこれ以上先には進めない。
「今は崩れてしまって跡形もないけど、昔、裏山に登る階段があったんだ。平坦な土地で高いところがないから川が増水したりして警報が出たら、この階段を登って避難することになっていたんだ。年に一回行われていた避難訓練のときはたもくんがおんぶして階段を登ってくれた。上は展望台になってて、遊歩道を歩いていけば向こう側に下りれるようになっているんだ」
「中学生ぐらいで岩水は四季をおんぶしてここを登ったのか?嘘だろう」
彼が驚きながら裏山を見上げた。
「舗装された道もあるけど狭いし、くねくねしているし、遠回りだから、こっちのほうが近道だって」
「明日間違いなく筋肉痛になりそうだね。蜂谷さん、青空さん、四季をお願いします」
彼が僕の代わりに土手を登っていった。
「襲われたら一貫の終わりだ」
「分かってる」
蜂谷さんと青空さんは鋭い視線であたりを見回した。
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