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起爆装置
首をかしげる男性たちに、
「それは起爆装置だ」
柚原さんが声を荒げた。
「嘘、マジ」
「こっちに寄越せ」
男性たちが慌てて柚原さんに渡そうとしたそのとき、解体工事の関係者がつかつかと近寄ってきて。二人からそれをすっと取り上げると、無表情でボタンをポチっと押した。
ドーーンという、ものすごい爆音とともに一台の警察車両が爆発し、炎上した。
燃えているのはキヨちゃんが乗っている車両じゃなくて、その前に止まっていた若井さんが乗っている車両だ。
「なんだ、橋本じゃないのかよ」
男性がぼそりと呟くと、
「弟を返せ!この人殺し!」
大声で叫んだ。
煙と炎に行く手を遮られ、キヨちゃんが警察官とともに車から下りてきたとき、男性が猛然とキヨちゃんに突っ込んでいった。
卯月さんと蜂谷さんが二人がかりでその男性を取り押さえたものの、そのあとで誰も予想していなかった、まさかの事態が起きた。
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