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俺の屍を越えていけ

「そんなに逃げたければ俺の屍を超えて行け。ただし、四季と和真と一般市民に傷ひとつつけたらただじゃおかねぇぞ」 城さんは丸腰なのに毅然とした態度で男性と対峙した。 「莫、今ならまだ遅くない。投降しろ」 運転席から下りてきたのが宋さんだったから驚いた。 「宋と莫は……」 蜂谷さんが説明しようとして言葉を詰まらせた。 「因縁の相手とか、好敵手とかそんな関係ですか?」 彼が聞き返すと、 「ハチ、はっきり言えばいいんだ。莫ば宋の元カレだってな」 蜂谷さんの代わりに青空さんが答えてくれた。 「蜂谷さん、迎えの車は建物の後ろに回ってもらった。こっちだ」 斉木先生に案内してもらい、元来た道を戻り建物の中を通り抜け非常用扉から外に出た。たもくんと慶悟先輩も一緒だ。 空耳かもしれないけど、 「四季、今まで悪かった。これで罪滅ぼしになるとは思わない。今度こそ幸せになるんだぞ」 城さんの声が聞こえてきたような気がして後ろを振り返った。 「四季、前だけを向いて生きろ。俺にはそう聞こえた」 彼にも城さんの声が聞こえていた。 「城はけじめをつけたんだ。県警のナンバー2として、自分の命と引きかえに……」 蜂谷さんが茜色に染まりはじめた空を見上げた。

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