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思わぬ助っ人
助手席から下りてきたのは頭に包帯をぐるぐる巻いた城さんだった。顔は擦り傷だらけで血が滲んでいた。
「莫《バク》逃げんじゃねぇ!この卑怯者が!」
声を張りあげた。
「ウルサイヨ、アンタ」
運転手席から若い男が顔を出し片言の日本語で叫んだ。その手には黒い何かが握られていた。
「世界平和と友愛を説いた神様の教えに反し、教団はいつからテロ集団になったんだ。神様は嘆き悲しんでいるんじゃないか?」
莫という名前の男性は城さんを睨み付けていた。その目は血走り正気を失っているように見えた。
「それパイプ爆弾だろう。ここでそれを爆発させたら大勢の、なんの罪もない市民が犠牲になる。海堂は逮捕、教団に解散命令が出ることになるぞ。それでもいいのか?」
城さんは怖いくらい落ち着いていた。
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