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どうか無事でいてほしい

「和真ありがとう」 ヤスお兄ちゃんがスマホを返した。 「和真さん何て?」 「四季には隠し事はしないと約束したからね。根岸さん、弓削さんに頼まれてそれとなく八木田さんの動向を探っていたみたいだよ」 「もしかして八木田さんがいなくなった、とか……」 あてずっぽうで言ったつもりが当たっていた。 「信者らと共に寝泊まりしていたウィクリーマンションから莫と一緒に外出したあと忽然と姿を消したみたいだ。莫はまゆこさんの右腕らしいから、消されたんじゃないか心配だって、それでメールを寄越してくれたんだ」 「八木田さんは昴さんを助けてくれた恩人だもの。無事でいて欲しい」 「そうだね」 「四季は優しいな」 それまで強張っていた彼とヤスお兄ちゃんの表情が和らいだ。 「キヨちゃんの義理のお父さんは海堂さんとひそかに会っていたんですよね?」 「藪から棒にどうした?」 「もしもですよ。田辺さんが弟さんがなぜ亡くなったのか知っていたとしたら?海堂さんの弱みを握っていたとしたら?田辺さんは海堂さんを脅すために帰国したということはないですか?」 「突拍子もないことだけど、当たっているかも知れないな」 ヤスさんがスマホを耳にあてた。

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