296 / 431

一世一代の告白

「海翔と鉄将をみていると昔のヤスのことを思い出す」 「思い出さなくていいぞ」 「なんでだ」 「恥ずかしいからに決まってんだろう。俺に言わせるな」 「凍死寸前だったおめさんを一晩中抱き締めてあっためたのはこの俺だ。怖いから一人で風呂に入れない、トイレに行けない。だから一緒に風呂に入ったし、トイレもついていったべ。別々の布団に寝ても朝起きるとなぜか俺にしがみついて寝てんだ。ヤスはいじらしくてめんげがったな。いつもあんちゃん、あんちゃんって金魚のふんみたくくっついて。離れなかった」 「弓削ストップ。余計なことは言わんでいい」 ヤスお兄ちゃんの顔がみるみるうちに真っ赤になっていった。 「弓削とヤスはまるで根岸と伊澤みたいだな」 青空さんが何気なく発した一言に一瞬場が静まり返った。 「卯月さんが言っていた通り、もぅ付き合っちゃえば?」 「ちょっと直矢」 遥さんが慌てて止めに入ろうとしたけど、 「遥も卯月さんみたく二人が一緒になって幸せになって欲しいってずっーーっと願っていたじゃん」 「それはそうなんだけど……」 何ともいえない気まずい状況に遥さんがえへへと愛想笑いを浮かべた。

ともだちにシェアしよう!