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最後はみんな笑顔で

卯月さんたちが来ていると聞き付けたご近所さんがお土産を持って次から次に集まってきた。駐在所のお巡りさんまでいたからびっくりした。卯月さん夫婦の明るい性格と、人柄のよさと、人望の厚さに、自然と人が寄ってくるのだと上総さんが話してくれた。 それから一時間後。 「写真をとるのでみんな集まってください!」 雲ひとつない青空のしたで子どもたちの元気な声が響く。 集合写真を撮って欲しいと急なお願いにも関わらず二本松市内の写真館の社長さんが二つ返事ですぐに駆け付けてくれた。 「小さい子と四季さんは前だよ」 先頭に立ち音頭をとるのは一太くんと優輝くん。 「ひまちゃんとりんちゃんとはっちゃん呼んでくる」 「わたしもいく」 めぐみちゃんと幸ちゃんが仲良く手を繋いでペンションに向かった。 「コテージのほうは俺が行ってくる。そろそろ終わった頃だろう」 卯月さんがコテージへと向かった。 「おじいちゃんたちも入って。さいきせんせいたちも。みんなしてこしがおもいんだから、こまっちゃう」 遥香ちゃんの大人顔負けの言葉に目を丸くする四人。自然と笑みが溢れた。 「もうちょい詰めてくれ」 カメラマンの隣で指示をする卯月さん。卯月さんの声は遠くまでよく響くから拡声器いらずだ。 「よし、全員入った。子どもたち、すぐに終わるからもう少しの我慢な」 スマイル、スマイル、笑顔だ、笑顔だ。と言いながら卯月さんが走ってきて、僕のとなりに座る未知さんの隣に腰を下ろした。 飽きて泣いている子、青空さんの変顔に笑う子、駄々する子、寝起きでぼぉーとしている子、この状況でもすやすやと寝ている凛。賑やかな雰囲気で撮影会は大いに盛り上がった。大切な思い出がまたひとつ増えた。 「四季」 彼が肩をそっと抱き寄せてくれて。チュッと軽くおでこにキスをしてくれた。 カシャカシャとシャッターの切る音がしてギクッとして顔を上げると、心春がにこにこの笑顔でスマホを構えて立っていた。 「いつからいたの?」 全然気付かなかったから驚いた。 彼と出会ってすぐに凛を授かり、家族があっという間に五人に増え、かけがえのない大切な人たちと出会えた一年だった。 お父さん、お母さん、まなみ先生、夕貴さん。空の上で僕たち家族を見守ってくれてありがとう。夕貴さんから託された命のバトン。彼と手を取り合い、力を合わせて子どもたちをこれからもずっと、未来永劫守り育てていくから。 『恋を知り、溺愛されています』 連載開始から1年5ヶ月。不定期連載にも関わらず読んでいただきありがとうございました。 【完】

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