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16 愛しい人(2)

ヒビキは、ソラの呼吸が整うのを待っていた。 「ソラ、落ち着いたか?」 「……ヒビキさん、ごめんなさい……オレ、もう自分を抑えられなくて……ごめんなさい……」 ソラは、泣きそうな表情で謝った。 「まぁ、いい……で、どうしてこうなったんだ? 話してみろ、ソラ」 うつむいて黙ったままのソラ。 しばらくして、決心がついたのか口を開く。 「ヒビキさん、お願いがあります!」 「何だ?」 「オレをまたヒビキさんの元に置いてください! お願いします!」 「……どうした、急に。約束しただろ? 俺はまだその時では無いと思うが?」 「……はい……」 下を向くソラ。 ヒビキは、ソラに言葉を投げかけた。 「ダイチの事か?」 ソラの体がピクッと動いた。 「あいつは何でもない。お前が気にする事はない」 「嘘です。嘘ですよね? だって……ダイチは絶対にヒビキさんに恋をしています。そして、ヒビキさんだって……」 「勘違いするな……」 ヒビキは、目を細めた。 「あいつは渡り鳥のようなものだ。旅の途中で俺という木で羽休めをしている。いずれ何処かへ飛び立つ。それが新しい場所なのか、元いた場所なのかはわからないが……」 「だったら、オレはヒビキさんという巣に帰りたいんです! もう羽もボロボロで飛べません!」 「……お前がそんな事を言うとはな」 「ごめんなさい、ヒビキさんを失望させてしまって……でも、オレ……」 「いいさ」 「ヒビキさん……」 ソラは、我慢できずにヒビキに抱きついた。 **** ヒビキは、ソラの我慢強さを信じていた。 そう、初めてソラを抱いた時。 あの苦痛にも耐えたのだから……。 アナルバージンのソラ。 ヒビキのモノは、その小さな無垢な割れ目には入れる事が出来なかった。 ソラは泣いた。 「ごめんなさい! 僕がいけないんです……ヒビキさんのおチンチンこんなに大きいって知らなかったから……僕のお尻の穴、もっと広がるようになっていなくちゃいけなかったのに……うわーん」 ヒビキは、ソラの頭を撫で、また今度と言うと、いやだいやだ、と首を振る。 「お願いします! 僕、どんなに痛くても我慢します! 入れてください!」 そう言って懇願した。 ヒビキのモノは、可愛いソラのお尻の穴をメキメキと音を立て拡張しながら、ソラの体内へとゆっくりとゆっくりと進んでいく。 「ソラ、痛くて我慢できなかったら、すぐに言うんだぞ? いいな?」 「……はい、大丈夫です」 相当な痛みのはず。 ヒビキは、ソラはすぐに諦めるだろうと思っていた。 が、ソラは、必死に悲鳴を上げるのを歯を食いしばって我慢し、大丈夫、大丈夫です、としきりに答えた。 そして、ヒビキのペニスが根元まで入ったのを見たソラは、ホッとした顔を浮かべて言った。 「ヒビキさんと僕、繋がってます! 僕、とっても嬉しいです!」 そして、ソラは笑顔のまま気を失った。 ヒビキは思う。 そこまで、我慢強く、真面目なソラ。 だから、どんな悩みでも、心の奥底に押し込め簡単に口にする事などありえない。 しかし、ダイチがその封印を意図も簡単に解いてしまった。 ヒビキは、ふと思い立った。 まてよ……これはもしかしてチャンスなのではないか? 頭の中を整理すれば整理する程、これはソラにも、ダイチにも、そして自分にとっても飛躍できる好機に思えて仕方ない。 「ヒビキさん、どうしたんですか?」 「ああ、すまない。ちょっとな……で、ソラは、俺の元に戻ってきたいのだな?」 「はい!」 「でも、約束は約束だ。歌で人を魅了できるようになる迄と」 「そ、それは……でも、でも……」 再びすがる眼差しをヒビキに向ける。 ヒビキは、微笑みながらソラの頭に触った。 「ソラ、じゃあこうしよう。お前にチャンスをやる」 「……チャンスですか」 「俺とお前で歌で勝負をするんだ」 「歌で勝負?」 「そうだ。互いに新曲を出し、どっちの評価が上か。そうだな、SNSの試聴数で決めよう。同じ時間に上げて」 ヒビキは、一呼吸入れた。 「お前が勝てば俺の元に帰る事を許す。しかし、お前が負けたらこのままだ。いいか?」 「本当ですか? オレは本当に帰ってもいいんですか!」 「ああ、男に二言はない」 ソラの表情に、パッと花が咲く。 嬉しさで目がキラキラと輝いた。 「ありがとうございます!……ヒビキさん!」 「ふふふ、もう勝った気か? こっちはダイチに歌わせる」 「……ダイチに」 ソラの表情は少し陰った。 ヒビキは、意地悪そうな顔で続ける。 「手強いぞ。知名度ならお前の方が上だが、ダイチは、今やトップクラスの人気だ」 「お、オレは絶対に負けません! オレのヒビキさんへの想いが負けるわけありません!」 「そうか……しかし、想いだけでは勝てまい。そんな甘い世界ではない。それは分かっているだろ?」 「ヒビキさん……確かにその通りですが……」 「ハンデをやろう。俺としても万全の状態のお前と勝負してこそ勝つ意味がある。お前にとっての最高のプロデューサーを紹介してやる。この男を頼れ」 ヒビキは、スマホの画面を見せた。 そこには、とある人物の写真付きのプロフィールが映し出されている。 ソラは、そのプロフィールを見て首を傾げた。 「誰ですか? この男。カイト……聞いたこと無い名前ですね」 「ふっ、まずは会ってみろ。それでお前自身で見極めろ。もし、気に食わなかったら他の奴と組んでもいい」 「分かりました。会ってみます。いずれにしても、オレ、絶対に負けませんから!」 事務所に戻ったヒビキは、自席の椅子に深く腰掛け、先ほどの事を思い返した。 ソラが最後に言った力強い言葉が耳に残っていた。 「絶対に負けない……か……」 ヒビキは、この勝負の行方を思いのほか楽しみにしている自分に気がついた。 ソラ、その言葉の通り、この勝負で俺に勝ってみろ……そして俺を驚かしてくれ。 そしたら認めてやる。お前が成長したと。 しかし、今の俺とダイチのチームは盤石。負ける気がしない。 万一ソラが勝てるとしたら、カイトの力次第だろう。 「カイト、見せてみろ、お前の力を。ふふふ、はははは」

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