真っ白な生きもの。 ふわふわな毛玉みたいで耳と尻尾があるけれど、手足とよべるものはない。 虫のように身体をくねらせて移動しているみたい。 その動きは滑らかで。 でも。 ふわふわ 翠の目がまん丸で可愛い 通りの途中で拾ってしまった。 なんで人気のないこんなところにこんな生き物が。 拾ったというより、手を差し伸べたら乗ってきた。 ちょこんと乗られて見上げられる目の可愛らしさ。 綺麗な目。 宝石みたい。 その目が一心に自分を見つめるのに負けてしまった。 あまりの可愛さに、覗き込むように顔に近づけたなら、小さな舌がぺろぺろ舐めてきて。 ハムスターとか子猫みたいで。 ふわふわ 小さい 真ん丸の目 可愛いが過ぎた。 連れて帰ってしまった。 だって自分からポケットに入ってくるんだから。 ちょっと疲れてた。 大学を終えて、なんとか就職して、なのに仕事はあまりにブラックで。 よく分からない生き物は可愛くて癒されてしまった。 調べたところで、こんな生きものはいないだろうな、とわかってはいたのに。