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なんにもたべない
いきものをつれて帰った。
家に帰ると生きものはポケットから出てきて、よろこぶように家を駆け回る。
でも、また足もとに擦り寄ってくる。
ふわふわ
可愛い
でも。
どうやって育てるのだろう。
くだもの、野菜、葉っぱ、肉、魚
並べてみたがどれも興味をしめさない。
水だけは飲んだ。
小さな口を開けて
真っ赤な小さな舌で。
心配になった。
どうやって育てる?
元の所に帰す?
あんな裏通りに?
悩んでたらいきものはオレの足元からスルスルと肩まで登ってきた。
脚もないのに。
小さな毛玉はオレの頬を舐める。
くすぐたくてわらった。
手のひらにのせて、オレを見つめる綺麗な翠の目を見つめてため息をつく。
「どう育てたらいいんだ?おまえを」
オレの言葉にいきものは不思議そうにオレを見つめるだけだ。
オレの指を咥えて、仔猫が乳でも吸うように吸っている。
「おなかすいてるのかな」
オレは心配になる。
が、いきものはまるで満腹になったかのように、指をから口を離すと、ころりところがり満足気にねむってしまった。
そう、まるで、仔猫がミルクをのんで眠るみたいに。
良く分からないが、スース寝ているのが可愛くて。
そっとちいさな籠に入れて、タオルをかけた。
明日。
動物病院にでも連れていくか。
いきものは可愛いかった。
なんだかよくわからないけれどかわいかった
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