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王都2

 で、出発まで俺とリイは、ユイくんとルーと親睦を深める為に話をする事になった。 「あらためましてユイ王子、アスラです。ユイくんって呼んでいい?」 「もちろん!アスラ様はおいくつですか?俺は十六歳です。」 「あ~、そのアスラ様ってやめてくれない?同い年みたいだし。敬語もなしで。」 そう、前世では俺はユイくんより二歳年上だったが、この世界では同い年みたいなんだ。 「じゃあアスラくん?」 「うん、それでいいよ。俺も敬語やめるし。それでさ、ユイくんは魔王に会うの怖くないの?」 「えっと、俺ね、実は先代魔王様の大ファンなんだ!魔王城見た事ある?めちゃくちゃカッコいいんだよ!!あれをデザインしたのが先代魔王様って知ってる??それに先代魔王様が歌ってる裏魔族配信見た?もう、俺、失神するほど感銘を受けてさっ!そしたら、実は母さんが昔先代魔王様と結婚してたって言うしビックリしたってもんじゃなかったよ?!!」 あぁ~やっぱりこの世界のユイくんもジュンさん推しだったよ。前世のユイくんも、自分のお母さんが昔ジュンさんと結婚していたなんて知らずに、MAGの大ファンになったんだよね。 ちなみに前世でのユイくんは、初期MAGのジュンさんの真似をしていて、短い金髪のツンツン頭にピアスをいくつも開けていた。その見た目から「腕白王子ちゃん」ってあだ名が付いていたんだ。どう考えても俺の腹黒王子ちゃんからの流れだよね。何かごめんね前世のユイくん。 そして裏魔族配信って言うのは、本当は魔族のみに配信されている鏡を媒体にした映像だ。それを人族の鏡でもちょっとした裏技を使えば見れるってわけ。 まぁ、違法ではあるんだけど、そこまで厳重に取り締まられたりはしていない。王子様が見ていてもちょっと怒られるくらいで済む。 「その裏魔族配信は見てないけど、先代魔王様の歌の素晴らしさは知ってるよ。そっかぁ、ユイくんは先代魔王様推しなんだね。じゃあ怖くはないか?」 「うん・・けど、俺って母さんの息子だから、先代魔王様は俺に会うの嫌かなって思って・・・先代魔王妃様も前の嫁の息子になんて会いたくないだろうし・・・」 大丈夫だよユイくん。君は王妃様なレンさんにもめちゃくちゃ可愛がられるからっ!! ここでちょっとした豆情報を一つ。共に王妃様なレンさんとカコさんは、血の繋がりは全くないのにすごく似ている。ジュンさんの好みが丸わかりだねっ! 必然的にカコさんによく似たユイくんは、レンさんに激似。前世でも、昔の自分を見ているようだとレンさんはユイくんを本当の息子のように可愛がっていたんだ。 更に、レンさんのお姉さんのランさんと、ユイくんの姉でありキョウの妹であるカグヤちゃんもよく似ている。何故かこの二人は性格まで激似。誰も太刀打ち出来ない魔女様なお二人だ。 「大丈夫だと思うよ?先代魔王様はそんなに心が狭くないって!!それにユイくんには新しい出会いがあるよ。俺、ちょっとだけ予知も出来るんだよね。それによると失敗する未来はありえないから気楽に行こうよ。」 「うわぁ!アスラくんすごいっ!!何か俺まで自信が出て来たよ!うん、信じるよ!俺も頑張るっ!!」 うんうん。リイとルーも意気投合して戯れあってるしいい感じ。 そんなこんなで俺とリイ、ユイくんとルーな四人で王都を出発し、魔王城へと向かったんだ。 もちろん憑依して。 ユイくんは金色の猫耳と尻尾、翼は根元が微かに金色で先端に向かって徐々に白くなっている超絶美少年の金色猫獣人に。控えめに言っても尊いよっ!! しかも、ユイくんは支援魔法と造形魔法が得意だったんで大助かり! テントを張らなくても、土や木で簡単な小屋とか作ってくれるんだよ。 ユイルーモードの時は弓の使い手で中々強く、倍速とかの支援魔法、更には俺の身体強化にプラスして強化魔法もかけてくれるすごくいいパートナーだった。 なので、旅の道中も最高に快適だったよ。 旅の終わりにワイバーンの群れに遭遇した時は流石に焦ったんだけど、何とっ!憑依状態の長が迎えに来て、一瞬で蹴散らしてくれました。そして・・・ 長が、ユイくんを見つめている。これは、前世と同じく一目惚れかな?

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