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魔王城1

 「初めまして。私は魔王様親衛隊の長をしておりますシグと申します。 だいたいの事情は把握しておりますが・・・ ふむ、契約精霊ですか。憑依も完璧ですね。確かに精霊にそこまで信頼されている人間ならば、話を聞く価値はありそうです。よろしい!魔王様に謁見出来るよう取り次ぎ致しましょう。 ・・・あなた方二人にもとても価値があるように思いますしね・・・」 「は、初めまして!俺は人族の国王の息子のでユイトと申します。大使として、魔王様に取り次いで頂ける事を嬉しく思います。こちらは勇者のアスラです。」 「アスラです。勇者と言っても話し合いに来ただけなので、どうぞよろしくお願いします。」 あ~あ、長ってば、ユイくんしか見てねぇしwこれはもう心配ないかな? しかし、長の契約精霊はピューマだっけ?お互いに憑依状態だけど、猫と違って戦闘能力バカ高いな。こりゃ勝てねぇわ。 リイが尻尾を膨らませて警戒してるけど、勝てるレベルじゃないからなっ! ユイくんは・・うわぁ!尻尾がピーンって立ってるよ?!嬉しいの?ピューマ怖くないのかよっ?!長はユイくんに危害を加えないって本能的に分かるのかな? 長は長で尻尾を大きく揺らして上機嫌だな。 「では、参りましょうか。魔王城まではそのまま飛んで行きますが、着きましたら憑依を解いてくださいね。」 長の後を追いかけて飛んで行くと、すごい光景が眼下に広がる。要塞都市って言うの?ジ◯リ映画やゲームに出て来そうなクオリティー。 あぁ、前世のユイくんが作ってたコラージュもこんな感じだったな。なるほど、こういうデザイン的な感性がジュンさんとユイくんは似てるんだな。ジュンさん推しになるはずだよ。 長が城の前に降りたので、俺たちもそれに倣う。 「はい、憑依を解いてください。」 言われた通り憑依を解く。ぶわりと、体が揺れ、俺の中からリイが飛び出した。 長も、ユイくんも憑依を解く。 ユイくんから飛び出したルーを、ピューマが受け止めた。 うわぁ・・ペロペロ舐めまくってるよっ!甘噛みもされてるし、何かエロいんだけどっ?! ほら、ユイくんも顔が真っ赤になってるよ?!! 「こら、ロー!落ち着きなさい!!まだ早いですよ?!全く、私も我慢しているというのに・・・」 長・・・心の声が漏れてるよっ!!  「あぁ、すまない。私の名はロー。君は?」 「ふにゃ~、ぼ、僕はルーでしゅぅ。」 ルー?!腰が抜けて地面に落ちそうだよ?かみかみだし!あっ、ローが素早く背中に乗せた・・・ 「人間の姿のユイト様も大変に魅力的ですね。」 おいおい!長っ!ユイくんの頬を撫でて腰に手を回してんじゃねぇよっ?! 「ユイって呼んでください。シグ様。」 「ではユイ?私の事はシグとお呼びください。」 こらこら、もうすっかり出来上がってるじゃねぇかっ?!!すっげぇ疎外感。 キョウ!キョウ!早く会いたいよぉ・・・ んっ??!!!何かとてつもない威圧感が・・・・・これってキョウの??? 「シグ、お前はいつからオレを蔑ろに出来るほど偉くなったんだ?」 やっぱり!!魔王様降臨だよ!!! 横には漆黒のジャガー。 あぁ、キョウだ・・やっと会えた・・・ 魔王様だからかな?ちょっと口調が違う。どっちかって言うと素のキョウに近い。前世のキョウは俺とジュンさんの前でしか素の口調で話さなかったからな。 「キョウ様?!!申し訳ございません!!今、御前に上がろうとしていた所でございます。あぁ、このようなご足労をおかけするとは、一生の不覚!誠に、誠に申し訳ございません!!!」 「うるさい。もういいからそっちの大使と話し合いをしてろ。人族からの要求を飲むかどうかの検討もお前に任せるから、次にオレが呼ぶまで邪魔するなよ。 気持ちは分かるから今回のみ許してやる。 さて、勇者?名は何と言う?」 「ア、アスラ。こっちはリイ。」 「ふむ。レイ、リイを任せた。」 「おう!任されたぞ。リイ?こっちに来い。」 黒く巨大な漆黒の翼を持つジャガーがリイを背中に乗せる。 リイ大丈夫か?って思って見てみたら、うわぁ・・・顔が蕩けてるよっ?!まだ何もされてないよね??威圧で腰がくだけてるのか?? まぁ、嫌がってはいないようなので、レイに任せよう。俺も自分の事で精一杯だしな。 「・・・アスラ?」 「アスって呼んでください。俺もキョウって呼んでいい?」 「ふははっ!面白い。いきなり魔王を呼び捨てか?!アス、それなりの覚悟は出来てるんだろうな?不敬罪で殺されても文句は言えないぞ?」 「キョウは、俺を殺さないよ。」 「ふうん?その自信がどこから来るのか教えてもらおうか?」 キョウが指をパチンと鳴らした瞬間、目の前の景色が変わった。

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