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魔王城4
あの後、ユイくん、リイ、ルーと会えたのは一週間後だった。
俺とユイくんは、それぞれキョウとシグの膝の上、リイとルーもレイとローの背中の上でのご対面だ。
みんなの顔を見て一瞬で誰もが同じ目に合った事が分かる。
リイ達はどうやってヤルんだ?こっちこそガチで物理的に無理だろう?大型猛獣×猫だぞ??
「・・・に、にゃんだよ・・??」
「い、いや、何でもない。」
いつも元気なリイが、かみかみの猫ちゃんモードになってるっ??!!何があったのか、どうヤッたのか知りたいけど・・・流石に今は聞けねぇわっ!
「ユイくん、大丈夫?」
「うっ、うん・・・俺、自分があんな事になるなんて思ってもみなかったから・・・はうっ?!!」
ちょっと待って??!長っ!ユイくんに何したんだよっ??!!!
ルーもデロデロに蕩けたままだし?!
俺、大概な事されて、ヤリ殺される!まで思ったけど、この中では一番マシな気がする・・・
あ、あれだよな?前世の記憶があるからある程度耐性が付いてるだけだよな!
完璧絶倫魔王様の仕打ちが一番マシだなんて信じないからなっ??!!!
「さて、シグ、報告しろ。」
「はい、キョウ様。
まず、人族からの要求ですが、十九年前に途絶えた国交を回復したいとの事です。
十九年前、人族である前先代魔王妃様が先代魔王様を捨てたと一部の魔族が怒り、人族への輸出、輸入を拒否したままになっておりました。
我が魔族側からは、取り立てて人族から輸入せねばならない物などございません故、何も不自由はなかったのですが、人族からしたら、魔族の国にしかない薬草や、魔物の素材等、輸入出来ないのはかなり厳しいようですね。
こちら側のメリットは然程ございませんが、国交を回復したとしても特に問題はないかと。」
「・・・まぁ、シグの言う通り魔族側からしたら、このままでも何の問題もないから放置していたんだが・・・それを願いに来たのか?」
一週間あったのに、その話を魔王にしなかったのかって?しようとしたよ!何回も何回もっ!!
けどこの魔王様は「その話は後でみんなが揃ってからだ。」って聞く耳もたなかったんだよっ!!ヤルばっかりで!!
「そうだよ。俺の母さんも薬師だから魔族からの輸入が止まって困ってるんだよ。」
「・・・魔王様、どうか人族との国交回復をお許しください。」
「お前、ユイといったか?俺の弟って事になるんだな?ふうん?
まぁ、親父も今更何も思うところはないだろう。どっちかって言うと非は親父にあるからな。いいだろう。見返りはアスとユイとリイとルーだ。最高ではないか。」
ええっ?!俺らが見返りなの??うーん、まぁそうなるか。俺はキョウと暮らすつもりで出て来たからいいけど、ユイくんは大丈夫なのか?
「ユイくん、それでいいの?俺はもうここで暮らしてもいいと思ってるけど・・・」
キョウが満足そうに俺を抱きしめる。
「う、うん・・・」
「ユイ?歯切れが悪いですね?私を置いて人族の国へ帰るのですか?」
「い、いや、違うよ!そりゃ一度は報告に帰らなきゃならないけど・・・また、戻って来てもいい?」
「もちろんですともっ!!何なら私がご一緒いたしますよ?ユイのご両親である国王陛下夫妻にご挨拶もせねばなりませんしね。」
「あっ、あの・・・魔王様!」
「何だ?」
「せ、先代魔王様にもご挨拶させていただけないでしょうか?」
あっ、ユイくん、やっぱりどうしてもジュンさんに会いたいんだね。俺もこっちのジュンさんとレンさんにも会いたいなぁ。
「キョウ、俺も先代魔王様ご夫妻にご挨拶したい。」
「・・・まぁ、当事者である親父に話を通さないわけにもいかないからな。
シグ、親父達をここに呼ぶ段取りをつけろ。後、その国交を断絶させた魔族の特定と懐柔も頼む。」
「かしこまりました。」
「ありがとうございます!!」
良かったね!ユイくん!!
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