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先代魔王様ご夫婦ご来城3
レンさん、ランさん、ユイくんとお茶中の俺。もちろん、クー、ファー、ルー、リイも一緒だ。
精霊は基本的には何も食べなくても生きていけるが、嗜好品として甘いお菓子は好んで食べる。今もみんなケーキにかぶりついて幸せそう。見てるこっちまで幸せになるよ。
「けど、カグヤちゃんがカイさんの事を気に入ってたとはね。」
レンさんが言う。
「カグヤちゃんはねぇ、いい男だけどちょっと残念な、でも更生させる価値がある男が好きなのよ。そう思ってみたらカイはピッタリね。」
と、ランさん。やっぱり前世と同じなんだね。更にランさんが俺達に向かって言う。
「カイはね、私達の幼馴染なのよ。昔から先代魔王様に憧れてたんだけど、レンの事も異常に可愛がってたのよね。
で、先代魔王様はカコさんと結婚したけど別れてレンと再婚したじゃない?カイからしてみたら、憧れの先代魔王様が捨てられたのも腹が立つし、自分が可愛がってたって言うか、ぶっちゃけ惚れてたレンが先代魔王様と結婚したのもカコさんの、人族のせいだ!って事になっちゃったんじゃないかしらね。」
なるほど!すげぇ納得したわ。
「エルも力があるくせにかなり残念な精霊だからね。ココに鍛え直してもらえばいいのよ。」
ファーから精霊サイドのダメ出しも出たよ?!
「あ、あの、その、カグヤ様は本当にカイ様を懐柔出来るのでしょうか?」
ユイくんからの質問。
「うん、多分一瞬で勝負はつくと思うから、後はどれくらいカイさんとエルが頑張るか、だよね。」
と、レンさん。
「そうねぇ、力と魔族としての格は比べ物にならないからねじ伏せるのは簡単。後はカグヤちゃんがどこまでカイを気に入ってるかね。
力関係は置いといて恋愛的な方面から見ると、カグヤちゃんのルックスはカイの好みど真ん中だしいけると思うのよ。カイはゲイだけど、なんせ相手はカグヤちゃんとココだもの。並の男なんかとは比べ物にならないくらいの魅力があるからね。カグヤちゃんが本気なら確実に落とされるんじゃない?」
「確かにカグヤ様を見ていると、自分の常識と言うか固定観念が破壊される気がします。」
おぉっ!ユイくんが前世のユイくんと同じ事を言ってるよ。本当に基本的な人格と言うか、考え方も同じなんだよな。すげぇ安心する。
そんな会話をしていたら、突如二つの大きな影が出現した。
何とっ?!真っ白な髪の中に虎耳を生やし、白い尻尾と巨大な白い翼を持つカグヤコ様と、首根っこを掴まれたチーター獣人のカイエルさんっ??!!!
「あらぁ!速かったわね、カグヤコ。」
「うふふ、カイエルはあたしに絶対服従するらしいわよ?よって、魔族と人族の国交は今日から回復します。」
「それは隣の部屋に行って報告して来てね?」
「あっ!そうですねランさん。ちょっと隣に行って来ま~す。」
そのままカイエルさんを引きずって隣の部屋に移動するカグヤコ様。もう、様を付けないと畏れ多くて呼べないよっ?!
それほどの圧倒的な力と強者の威圧感。
カグヤコ様は、漆黒のキョウレイと対をなす美の化身だ。純白に輝くその姿は文句なしに神々しい。
その後、あっという間に魔族と人族の国交が回復した。カイさんが止めていた輸出入ルートを解放し、人族の現国王夫妻に連絡を入れたようだ。
大役から解放された俺とユイくんはお疲れ様会を開催中。って言っても普通にお茶して喋ってるだけなんだけど。
「本当に良かった!これでやっと自分の事を考えられるよ。」
俺はキョウに会うことが第一目的だったけど、ユイくんは人族の未来を背負ってここに来たからね。なのにシグと出会ってしまい、色々な葛藤があったみたいなんだ。
「そうだね。ユイくんはこの後どうするの?」
「とりあえず、人族の国に報告しに帰るよ。そこで父さんと母さんにシグの事を話して許してもらえるなら、こっちに来て先代魔王様のような城のデザインが出来るように勉強したいな。人族の国王は世襲制じゃないから、俺が後を継ぐとかもないし多分大丈夫だと思う。
アスラくんは王妃様だね!」
「えぇ?やっぱりそうなるのかなぁ・・・俺、王妃様とかって柄じゃないのに・・・」
「大丈夫だよきっと。何があっても魔王様が守ってくださるだろうし、レン様も色々教えてくださるみたいじゃん。」
「あぁ、うん。まぁ頑張ってみるよ。あっ、俺も母さんにキョウを紹介しなきゃ。一度魔王城に招待したいんだけど・・・」
「アスラ、いつでも母さんを呼べばいいって魔王様が言ってるって。レイがそう言ってる。」ってリイ。
・・・便利だけど迂闊な事言えねぇなっ!!
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