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エピローグ
今日は、魔王城に母さんを呼ぶ日。って言っても、こっちからキョウの瞬間移動で行って、母さんを連れて来るんだけどね。
基本的に瞬間移動は一度行った所にしか行けない。でも、レイとリイが繋がってるから、キョウレイとアスリイになれば大丈夫らしい。
前もって伝えるすべがないからいきなりの訪問になるんだけど・・・母さんだから大丈夫だと思う。
キョウレイにつかまり、魔王城から始まりの森に瞬間移動。見慣れた風景が広がる。懐かしの丸太で出来た一軒家。
憑依を解いて家に入る。
「母さん!ただいまっ!!」
「アスラ?!リイもお帰りなさい!あ、あら、こちらはもしかして・・・」
「魔王のキョウだ。こっちは契約精霊のレイ。アスの母君、アスをオレにくれないか?」
キョウ!いきなりだなっ?!!
「ぐふっ!!生魔王様・・・『アスをオレにくれないか?』だなんてっ!!と、尊いがすぎる・・・」
「母さん、心の声が漏れてるよ・・・」
「はっ!申し訳ございません、魔王様。あらためまして、アスラの母のツキカと申します。どうかアスラをよろしくお願いします。」
「そう言っていただけて嬉しく思う。母君、もしよかったら魔王城に招待したいのだが・・・?今ならまだ親父もいるし出来れば紹介もしたい。」
「えぇっ?本当にいいんですか?行きたいです!!」
母さん、目がキラキラしてるよ・・・脇カプ楽しみにしてたもんね。
瞬間移動で魔王城に戻った。
謁見の間に勢揃いしているみんなに母さんを紹介していく。
一通り挨拶が終わり、俺は今、母さんとリイとゆっくりお茶をしている。キョウが気を使って俺たちだけにしてくれたんだ。
「母さん、いきなりで驚いただろ?けど、前もって連絡する手段もないからさ。」
「うううん?嬉しかったわ。ありがとうアスラ。あたしなんかが一生来る事がないはずの魔王城に招待してもらって、魔王様や、先代魔王様ご夫妻にまでご挨拶してもらえるなんて夢のようよ?!
それにあのシグくんとユイくんもいいわねぇ・・・全カプ推せるわっ!!」
「はは、母さんは母さんだね。安心したよ。」
そうして母さんは、魔族の国にしか生えない薬草や、その他の薬の素材をしこたまお土産にもらって上機嫌で帰って行った。もちろんまた俺とキョウで瞬間移動して送って行った。
「結婚式にはぜひ参列して欲しい。」
ってキョウが言った時にはびっくりしたけど、母さんはすごく喜んでいたし良しとしよう。
ユイくんも、シグを連れて人族の国に報告に帰った。魔族との国交を回復させた大使のご帰還でお祭り騒ぎ状態の中、シグとの事も魔族の国で住む事も許してもらえたんだって。
俺も本当は勇者として報告に行かないといけなかったんだけど、キョウが許してくれず、ユイくんに状況を伝えてもらうだけになったんだ。俺が王妃になるって事もユイくんがこっちに住む許可が出る一因になったらしく、良かった良かった。
「母さんはちょっと寂しそうだったけどね。」
そりゃそうだよね。キョウとカグヤちゃんに続き、ユイくんまで魔族の国に行ってしまうんだから。
俺もそうだし、お互いにちょくちょく母さんの顔を見に帰ろうってユイくんと二人で約束した。
結婚式は半年後の予定。キョウはすぐにでも式を挙げたがったけど、流石に魔王様の結婚式を簡単に済ますわけにもいかず、その準備を最短でするとして半年後だそうだ。
その直後には長とユイくんの結婚式も控えている。
そうそう、キョウと俺の結婚式はレイとリイの結婚式でもあるんだ。本人たちが愛し合っていても、契約精霊の相性が悪いって場合もあるらしいから、レイとリイがそうなってくれて嬉しい。
実はレイってキョウより完璧王子なんだよ?!何と言うか、行動がいちいちイケメンで、キョウのクールさと、ジュンさんの人たらしな色気をあわせ持つ精霊なんだ。そんなレイだからリイを安心して任せられる。
ちょっと恥ずかしいけど、俺もアスリイモードの時にキョウレイと繋がっているからよく分かるんだ。
レイと契約してくれたキョウに感謝だな。
最近の俺の楽しみは、ランさんがこの世界でも経営してるカフェ マジョリカに行く事!
瞬間移動が出来なくても、魔力を通せば使えるワープポイントをキョウが魔王城とマジョリカに作ってくれたんだ。
そこでレンさん(同じく隠居先の城にもワープポイントがある)、ユイくんとお茶をするのが最高の娯楽。
ランさんはもちろん、たまにはカグヤちゃんもいて、前世のマデリカみたいで楽しい。
そんな感じで俺は楽しく幸せに暮らしている。前世の俺の小説ではここまで書かれていなかったけど、ここは小説ではなく俺の現実だ。
この現実を前世の俺に伝えたら喜ぶのかな?きっと最後まで小説を仕上げられて満足するだろう。そして受験をし、受かれば大学に通う。ここでの俺とは全く違う人生だけど、同じ事が一つある。
それは、俺がキョウを愛していて、キョウも俺を愛しているって事!
この世界では、更にそれにレイとリイの愛も加わるんだから、前世よりも俺は幸せかも知れないねっ?!
「腹黒王子ちゃんは異世界でも完璧魔王に溺愛される」 完
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ここまでお読みいただき本当にありがとうございます!
王子ちゃんシリーズのキャラが好きすぎてw、まだまだ書き続けたくて、思いついた勢いのまま書き殴った物語でしたがいかがでしたでしょうか?
ファンタジーとしてはご都合主義すぎて、目に余る部分も多々あったかとは思いますが、この辛い世の中、一人でも楽しんでいただけた方がいらっしゃれば幸いです。
本編は完結しましたが、安定の番外編が続きます。どうか今しばらくお付き合いくださいませ。
シグ×ユイ 全四話。
ジュン×レン 全三話。
その後、キョウ×アスの結婚式と初夜で完結です。
ルコ
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