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番外編 運命の人1
しばらく、シグ×ユイのお話にお付き合いください。全四話予定。
一部内容が先に書いた物とダブります。
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俺の名前はユイト。気軽にユイって呼んで欲しい。人族の現国王の息子だ。
人族でありながら、基本的に上位魔族としか契約しない猫の精霊のルーと契約している。
俺とルーは、約二十年国交が断絶している魔族との国交回復を願う為、勇者のアスラくんと、その契約精霊のリイと共に魔王様に会いに来たんだ。
けど、もうすぐ魔王城って所で、ワイバーンの群れに遭遇してしまった。懸命に戦うアスリイに支援魔法をかける。
「身体強化!倍速!」
アスリイがワイバーンの首筋に蹴りを入れ、裏拳を打ち込み、次々に地面へと落としていく。
俺もユイルーとなり、命中の魔法をかけながら弓矢でワイバーンの眉間を打ち抜いていくも、数が多過ぎてどうにもならない。これはマジでヤバいかも?って思い始めた頃にシグローが来てくれたんだ。
それは、魔族のシグに精霊のローが憑依し、完全に同化したピューマ獣人。茶色の長髪を靡かせ、強者のオーラを放ちながら、ワイバーンを威圧して行く。
「拘束。」
革紐のような物が出現し、すべてのワイバーンを締め付けて飛べなくしてしまった。そこからこの群れのボスを見つけ出し、首根っこを掴んでシグローが威圧を込めて言う。
「このまま退けば見逃しましょう。戦うと言うのなら絞め殺しますが?」
ワイバーンが言葉を理解するのかどうかは知らないが、圧倒的な力の差を本能で感じたのだろう。コクコクと頷くボスの拘束をシグローが解くと、空高く舞い上がり、「ギャーッ!ギャーッ!」と鳴いた。その瞬間、他の拘束されていたワイバーンが大人しくなったんだ。
それを見たシグローが拘束を解く。一斉に空高く舞い上がるワイバーン達。そのままどこかに飛んで行ってしまった。
はぁ、助かった。息を吐き呼吸を整え、ユイルーモードから通常の憑依状態に戻す。シグローも通常憑依に戻ったようだ。
「初めまして。私は魔王様親衛隊の長をしておりますシグと申します。
だいたいの事情は把握しておりますが・・・
ふむ、契約精霊ですか。憑依も完璧ですね。確かに精霊にそこまで信頼されている人間ならば、話を聞く価値はありそうです。よろしい!魔王様に謁見出来るよう取り次ぎ致しましょう。
・・・あなた方二人にもとても価値があるように思いますしね・・・」
「は、初めまして!俺は人族の国王の息子のでユイトと申します。大使として、魔王様に取り次いで頂ける事を嬉しく思います。こちらは勇者のアスラです。」
「アスラです。勇者と言っても話し合いに来ただけなので、どうぞよろしくお願いします。」
そんな挨拶の後、三人で魔王城へと飛んで行った。俺はもう、シグの事しか考えられなかった。
眼下に広がる魔王城。城壁にぐるりと囲まれいくつもの塔がそびえ立つ。俺は先代魔王様がデザインされたこの城が大好きなんだが、今はそれどころじゃない。
魔王城に着き、憑依を解除するようシグに言われ、俺は憑依を解いた。
俺の中からルーが飛び出す。それを、同じくシグから飛び出したローが受け止め、ペロペロと全身を舐めて甘噛みまでしている。
その行為を見た俺の顔が赤くなる・・・だって何かヤラシイんだよっ?!
ルーはふにゃふにゃになって、ローにされるがままになってるし?!!
「こら、ロー!落ち着きなさい!!まだ早いですよ?!全く、私も我慢しているというのに・・・」
が、我慢って?!
「人間の姿のユイト様も大変に魅力的ですね。」
そう言われて心が躍る。
「ユイって呼んでください。シグ様。」
「ではユイ?私の事はシグとお呼びください。」
その後、魔王様が降臨されシグが叱咤されるも、そんなに怒っている感じではなかった。それよりアスラくんが気になってしょうがない様子。
シグと俺のように、魔王様とアスラくんも運命の相手なんだね。
人族の願いの話をしなきゃいけないのに、魔王様はシグに俺と話し合うように言い、アスラくんを連れて消えた。
「瞬間移動なさったのですよ。さて、ユイ。キョウ様のお許しも出た事ですし、ゆっくりと話し合いをいたしましょう。
ロー、ルーを頼みましたよ?後で呼びますからそのつもりで。」
「承った。」
そうして俺は、シグの私室に連れて行かれた。
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