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第13話

次の日、ランディに連れられて王宮内の噴水のところに来た。リーラと双子も一緒である。 「さあ、ネロ、アル。いつもの遊びやってみろ」 ランディが言うと、わーいと噴水に向かって双子は走り出した。 双子の腰の高さまである噴水の中に入り、二人は何やら話をしている。 「そう。丸まって」 「うん。くるくるってして」 ネロは水を丸く固めて手のひらの上で転がし、アルは両手の中に風を溜めている。 「よーし。いけー!」 「僕もー!それー」 ネロは水を丸めボールの形にし、空中に投げた。アルが風を丸めネロの作った『水のボール』に当てる。見事命中すると空中に水飛沫が舞う。 ネロは次々と水を空中に投げる。その形は丸いボールだけではなく、花や動物など色々な形も作れるようだ。アルは風を連射して出すことも出来、ネロが作る水めがけて当てている。 空中に放された水に風がぶつかり、水のボールは形が壊れる様子がよくわかる。 二人は楽しそうな声を上げて遊んでいる。 「みてー!」ネロが水のボールを放つとアルが風の羽根を作り、それを遠くまで飛ばしていた。鳥のように水のボールは遠くまで飛んでいく。 リーラは唖然とした。二人とずっと一緒に暮らしていたのに初めて見る光景だったからだ。 「俺があの村で湖に連れて行った時、二人の遊びを見たと言ったろ?これを見たんだ」 ランディはその頃から知っていたのだ。二人には水と風の声が聞こえるだけではなく、水と風を操れることを。 「ダ…ダメ。みんなに知られちゃう…」 リーラは慌てて双子に駆け寄った。 「レオンも知ってるよ?」 「クリオスにも見せたことあるよ」 宰相にも騎士団長にも知られてしまった。サラリと二人に言われリーラは驚き、言葉を失う。 (もう、ここにはいられなくなる…) 王宮の暮らしは楽しくなってきたが、また隠れて生活する日々に戻る。ランディと離れて暮らすことになるのかと思うと胸がチクッと痛くなった。 「リーラ、よく聞いて欲しい。俺も皆が知っていたことを聞き驚いた。だがな、みんな驚きはしたが、それだけだ。 すごいって言ってるだけなんだ。それ以外なんとも思っていない」 「でも、この力…ずっと隠していかないとって思って…」 「リーラ、俺が君たちを守ると約束したろ?大丈夫だ。それに、このままでいいと俺は思っている。隠す必要はない。ここで生活していれば問題ないだろ?」 泣き出しそうなリーラをランディは抱きしめる。抱きしめられると安心し、トクトクと自分の心臓の音が聞こえ始めた。 この人はいつも不安になると抱きしめてくれる。 「この力を持つことは悪いことではない。そうだろ?リーラ」 ランディは正しい。けれどリーラはネロとアルのことを考えてしまう。この力のせいで、友達に怖がられたり、これから先皆に嫌われたりしたらどうしようと。 「クリオスに言われたよ。僕達はこれが得意なことなんだって。友達のケニーはね、勉強がすごく出来るからそれが得意でしょ。それにジンはかけっこが速いから、かけっこだし…だからみんな違う得意を持ってるんだってさ。得意なことあってよかったなって言われたよ」 アルが水を飛ばしながら笑顔で答えている。 本当に皆、気にしないだろうか。このまま隠さずにいられれば、こんなに嬉しいことはないとリーラは思う。 「俺にまかせろ。な?」 ランディはリーラを抱きしめたまま離さないでいる。

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