5 / 107
第5話
…………奴を隣で見ていた。
和久井は頬を染め、キラキラした絶世の美少女に見惚れている。
(コイツ……学校で彼女を作らないと思っていたら、相当な面食いだったんだな)
心の中で思って和久井を見ていると
「未来の夫の前で、他の男を見つめるなんて許せないですね~」
そう言って、キラキラ王子が俺の前に顔を出してきた。
俺が目を据わらせて居ると
「あら、お兄様はもう勇者様と仲良くなられたのですか? ずっと、勇者様にお会いするのを楽しみになさっていましたものね」
クスクスと笑う彼女を見て、姫さんはやっぱりクラスの女子みたいにゲラゲラ大口開けて笑わないんだな~って見ていると、綺麗なサファイアの瞳と目が合う。
お人形さんみたい……という言葉がぴったり似合う美しさに
(兄妹して眩しいなぁ……)
と思っていると
「勇者様。お兄様はね、ババ様に異世界の少年が伴侶になると聞いてから、ずっと勇者様とお会いする日を指折り数えておりましたのよ」
そう言って微笑む美少女に
「エリザ! 余計な事を言うなよ!」
慌ててキラキラ王子がそう叫ぶ。
「まぁ、お兄様ったら照れていらっしゃる」
「エリザ。あんまりおしゃべりだと、その可愛いお口をきみの刺繍針と糸で縫ってしまうよ」
「あら、お兄様ったら怖い事」
アニメや映画の中のような、上品な会話に頭痛がする。
(俺には、こんなお上品な会話なんて無理無理)
そう考える一方で、楽しそうに話す二人に俺は辛くなった。
こんなに綺麗な顔立ちをしているのに、運命をババアの占いで決められて。
俺みたいな平凡な……しかも男が伴侶だなんて。
こいつだったら、いくらだって伴侶になりたい女の一人や二人居るだろうに……。
俺達の世界に生まれていたら、それこそリア充中のリア充だっただろうなって美しい容姿をしているキラキライケメン王子を眺めていた。
ともだちにシェアしよう!