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3rd Crime 3
「ルミ」
暁が少女の名を呼ぶ。真ピンクのルージュが引かれた唇をルミが尖らせる。
「だから最近あたしとヤッてくんないんだー!」
ヤッ…?!
ルミの口から出た言葉に志月が赤面する。抱えたクマをぎゅっと抱きしめて暁とルミを交互に見た。
「ルミ、志月に変なことすんなよ」
ルミの抗議を完全に無視してそう言い置くと、暁はスマホを取り出しながら細い路地に入って行った。
ルミが志月の顔を覗き込んで「新顔だねー」と言った。
「あ、えっと、志月です」
何となく気恥ずかしくて目をまともに合わせられなまま、志月はぺこりと頭を下げた。
「ルミだよ、よろしくね志月」
笑いながらルミがクマの頭をポンと叩く。
「ね、このクマ任されるなんて暁に信用あんだねー」
「え?」
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