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3rd Crime 5

「いいもん持ってんじゃあん」  不意に声を掛けられて、驚きと共に志月とルミが顔を上げる。そこに一人の男が立っていた。 「|茂《しげる》!」  ルミが一歩後退る。茂と呼ばれた男がニィッと口端を上げて笑う。肩辺りまである髪はもつれてグシャグシャで、そのまま無造作に一つに結ばれている。無精髭と窪んだ目が年齢を不詳にしている。茂が汚れた薄いコートの腕を上げて志月の持つクマのぬいぐるみを指差す。 「なぁそのクマくれよぉ」  ルミが茂の手を振り払う。 「あんたクスリやりすぎ!」 「なあ、くれよぉ」  ルミの言葉など耳に入っていない様子で茂は志月の方へ近付いてくる。足元が覚束なくて、ゾンビが歩いているようだ。  初めて見たクスリで自我を失くしている人間に少しの恐怖と驚愕を覚え、志月は数歩後退った。

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