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3rd Crime 6
「こ、これはダメだよ!」
歩道の縁石でつまずき志月がしりもちをつくように転ぶ。それでも暁に託されたクマだけはしっかり抱える。
「やめなよ茂!これ暁のだよ?!」
「うるせえ!」
「きゃあ!」
茂の腕を掴もうとしたルミが力任せに振り払われ身体ごと吹っ飛ぶ。廃ビルのシャッターに派手にぶつかると、そのままうずくまるようにして気を失った。
「ルミ!」
志月が叫ぶ。ルミの元に行きたいが足が竦んで立てない。茂がゆっくり志月に近付く。
どうしてそんなにこのぬいぐるみを欲しがるのだろう。まさか暁の恋敵?
震える身体で、それでもぬいぐるみをしっかり抱いて志月が茂を見上げる。目の焦点が合っていない。
(怖い!)
大きな茂の手が志月の腕を掴んだ、その時。
ガツッと鈍い音がして茂の身体が仰向けに倒れた。そのまま地面を滑るように転がる。
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