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4th Crime 18
「あのオヤジを殺ったのはお前じゃねえ」
低く強い声で暁が言う。志月の頬を掴んで前を向かせると、その目をじっと覗き込んだ。
「あのオヤジを殺ったのは俺みたいな街のダニだ。絶対にお前じゃねえ」
名前を呼びたいのに、志月の喉からは嗚咽が漏れるでけで音にならない。
「…好きだから離れようなんて気持ち、あるなんて知らなかった」
ポツリと言って、暁が笑う。
その笑顔がどうしようもなく悲しくて、志月は暁の首に腕を回して抱きついた。暁もその広い胸に志月を迎え入れてくれる。
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