50 / 85
4th Crime 17
「十五で家を出てから、何やってもハンパで。まともに生きていく道さえ選べなかった」
片膝を立てた暁がその膝に腕を乗せる。
「誰が作ってんのか出所も分からないクスリ売ったり、年寄りを騙す詐欺の片棒担いだり…今も同じ、使い捨ての利くパシリみたいなことばっかして」
暁が目を伏せた。志月に見つめられているのが辛いかのように。
「タバコと酒を覚えて、ケンカして…裏繁華街で一目置かれていい気になって」
暁は腕に額を付けて俯くと、乾いた笑いを漏らした。
「いい学校の制服を着た奴らとすれ違うたび、あんな風に不自由に生きたくないって笑いながら、本当は…あんな風に生きられればよかったのにって…」
「暁…」
自分と同じ思いが暁から溢れて、志月は暁の腕を掴んだ。タトゥーの入った左腕が少しだけ震えている。
「こんなハンパな俺の側に、お前を置いておけない…」
志月が「そんな事ない」と首を振る。涙が散って暁のタトゥーを濡らす。
「俺はそんなに綺麗な人間じゃないよっ…」
志月の声が喉で詰まる。暁の腕を掴む指に力がこもる。
人殺しの自分。
母さんにも先生にも叫べなかった自分。
ともだちにシェアしよう!