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4th Crime 20
「はっ…」
息をするのももどかしくて、少し離してはまたすぐに唇を求めた。暁の大きな手が志月の顎を上に向かせる。自然と開いてしまった唇の隙間に、暁の舌が差し込まれる。
「はっ…ん…暁っ…」
「し…づき…」
お互いの舌を絡めたまま、お互いの名前を呼ぶ。口の中を通って耳に響くような甘い音に、志月の身体が熱く震えた。
志月の口の端を伝って流れる唾液を、暁が唇と舌で舐め取る。唇を離すと、お互いの額を付けて向かい合った。肩で息をするくらいの激しいキスの余韻が身体中を支配する。
「今夜で終わりだ、志月」
「暁…」
嫌だと頭を振りたい。でも暁の気持ちが痛いほど志月に伝わって、それが出来ない。
「いつか俺がまともに生きられる日が来たら…」
そう言って暁が言葉を切る。そんな日が本当に来るだろうか?涙を溜めて自分を見つめる志月の頭をそっと撫でる。
いいんだ。
そんな日が来ないとしても、志月がどうか息の出来る場所で生きられますように。
心からの祈り。
そして、暁は志月の髪を撫でていた手を下ろすと、白いシャツのボタンを一つ外す。
「あ…」
志月が少しだけ身体を引いた。
「…嫌か?」
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