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エピローグ 5
長い、長いキス。
「あ…いたかった」
唇を離した暁が、志月を力強く抱きしめ、その首筋に顔を埋める。志月も暁の背中に手を回す。ずっと触れたかった温もりが確かにそこにあって、志月は暁の胸に顔を埋める。
「俺も…会いたかった」
罪は消えないのかもしれない。
でも、この幸福だけは譲れない。
二人はもう一度唇を重ねた。大人になった顔立ち、少しだけ伸びた背、二人が会えなかった時間を思い知る。だけど…。
愛しさだけがあの頃のまま、何一つ変わらない想いが二人の心に在った。
「好きだよ」
どちらともなく囁いて、顔を合わせて笑うと、何度も何度も口づけを交わした。
***
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