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もっと捕らえて 8

* オレと珀英は、ひとしきり部屋で寛(くつろ)いだ後に、一緒に大浴場の風呂に入りに行った。 珀英はずっとオレの裸が他人に見られるのを嫌がっていたが、別にオレ自身が何も気にしていないので、騒ぐ珀英を無視して露天風呂を満喫した。 だいたいが同性なんだからそんな気にしなくていいものを・・・って言うと、珀英は危機感が足りなすぎると顔をしかめる。 まあ・・・同性で付き合ってるんだから、そう言われても仕方ないとは思うが・・・でも露天風呂で襲ってくるヤツなんかいないだろう。 そう言うと珀英は何度も深い、深い溜息をつくばかりで。 オレは珀英に守られ(?)ながら露天風呂を満喫して、備え付けの浴衣を着て部屋に戻り、まったりと夕飯までの時間を過ごす。 ほてった体が少し冷えてきたタイミングで、仲居さんが部屋に来て夕飯の準備ができたことを教えてくれた。 オレと珀英は仲居さんの後をついて、階下の食事をする広間に移動して夕飯を食べた。 夕飯は珀英がオレに気を遣って、近場の港で獲れた新鮮なタコや貝類、白身魚などの海の幸と、きのこや野菜を使ったしゃぶしゃぶや、ハモのお吸い物、色々な魚がいっぱい盛られた豪勢な舟盛りを注文してくれていた。 牛肉のしゃぶしゃぶもメニューにあったっぽいが、本当は珀英はお肉が食べたいはずなのに、オレを優先して魚介類にしてくれている。 別に絶対食べないって訳じゃないから、相談してくれればお肉でも良かったんだけど・・・まあ美味しいからいいや。 オレはお腹いっぱい夕ご飯と地酒を楽しんで、食べ終わって部屋に帰る前に売店に寄って更に地酒を買い込んで部屋に戻る。 珀英にはまだ飲むのかと呆れられつつ、飲み足りないオレは美味しそうな地酒を部屋に戻って早々に開けて、部屋に備え付けのグラス2つに注ぐ。 珀英は呆(あき)れながらも、オレから見てテーブルの角を挟んで斜め前の椅子に座って、オレの晩酌に付き合ってくれる。 珀英と飲みながら音楽の話しや業界の話しや政治の話しやら、よくわからないけど酔った勢いで色んな話しをつらつらとしていた。 珀英はオレの話しを聞きながら、相槌(あいづち)を打ったり意見を言ったりして、嫌な顔一つせずにずっとオレに付き合ってくれていた。 足を組むのが癖になっているオレは、酒を飲みながら喋りながら、ちょいちょい足を組み直す。 その度に浴衣がはだけてしまうので直す。 一人だったらわざわざ直さないんだけど・・・珀英がちらちら見てくるからいちいち直している。 見られなければ別に気にしないのに。 珀英が目だけでちらっと見てくるから、その視線が性的な色を含んでいるから、どうしてもこっちまで気になって思わず直している。 珀英がセックスしたいんだろうなってことはわかっている。 今だって珀英の視線に、全身犯されている気分だ。 オレだって別にしたくない訳じゃ・・・そりゃあ、したいけど。 珀英は珀英で、そう言うタイミングを計りながらも言えないんだろうなって。 オレはオレで、恥ずかしさもあって言えず。 お互いに言い出せずに、ただただ酒を飲みながら話していたら、時間はどんどんすぎていき、23時近くになってしまっていた。 このままじゃ二人とも酔い潰れて寝ちまう・・・! 二人で日本酒を2本空けたところでオレは、襲ってこない珀英に苛々(いらいら)してしまい、飲むのを止めると徐(おもむろ)に立ち上がった。 多少酔いが回っているのか、少し体がふらついた。

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