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もっと捕らえて 9
「緋音さん?大丈夫ですか?」
珀英が心配そうにオレの体を支えようと、逞しい腕を伸ばしてオレの細い腰に触れた。
オレは珀英の問いに答えずに、テーブルを挟んで斜め前に座って、オレの腰を支える珀英の腕を引っ張った。
「え?どうしました?」
オレは無言で珀英の腕を引っ張って、椅子から立たせる。
立ち上がった珀英は一般的な浴衣ではサイズが小さいせいで、着ている浴衣がふくらはぎくらいまでしかない。
その身長の高さにも、手から伝わる筋肉の硬い感触の腕にも、風呂で見た厚い胸板にも、鍛え上げられた腹筋にも、平常時でもオレのより大きなものにも、全部全部に。
欲情する。
珀英はオレに促されるまま立ち上がって、ひきずられるように歩いて、奥のベットについてくる。
広い部屋の奥に大きめのベットが二つあり、オレは珀英の腕を掴んだままベットまでひきずって、そのまま珀英をベットに押し倒した。
珀英は素直にオレに押し倒されて、楽しそうに嬉しそうに笑っている。
オレは浴衣の裾を大きく広げて、珀英の体の両脇に脚を広げて膝立ちになって、上にのしかかる。
「・・・緋音さん?しないんじゃないんですか?」
「はぁ?しないの?」
「え、でも・・・」
「ふぅ〜ん、お前はそれでいいんだ?」
着ている浴衣をはだけてさせて、オレの胸元や脚が見えるように、わざと脚を広げたり、ぐいっと襟元(えりもと)を広げて見せつけて、煽る。
珀英の目線から、オレがどういう風に映っているのか、全部計算して、計算し尽くして、いやらしく煽って、オレだけを欲しいと思うように。
オレを犯して欲しいと。
誘う。
オレが思った通りに、珀英の精悍な顔がゆっくりと変化していく。
いつもの紳士的な笑顔から、ただの獣に。
珀英が生唾を飲み込む。
喉仏が大きく上下するからすぐにわかる。
「いえ・・・したいです・・・」
声に熱と加虐性が滲(にじ)んでくる。
そう・・・こうして珀英がオレを求め始めるのを見るのが、ものすごく好き。
思わずうっとりと微笑んでしまう。
口唇から熱い息を吐きながら、少し意地悪を言う。
「なにをしたい?」
「緋音さんを・・・抱きたいです・・・中をかき回して・・オレを貴方だけのものに・・・」
さすが犬。
珀英はオレに触れたいのを我慢しながら、オレの望む言葉を口にした。
オレはそっと顔を寄せて、期待に満ちた瞳で待つ珀英の少し厚めの口唇に、キスをする。
ちゃんと言えたご褒美。
触れるだけのキスをして、口唇を離す。
珀英の瞳が、発情した獣の瞳になって、オレを全身隈(くま)なく、視線で犯し始める。
主人をそんな瞳で見るなんて、本当に最低だな。
最低すぎて。
堪(たま)らない。
喉の奥でくつくつと嗤(わら)う。
「いいぜ・・・突っ込んでかき回せよ・・・その代わりお前の全部を寄越せ」
珀英が薄っすら笑って、はだけた浴衣の裾から手を差し入れて、オレの太腿を優しく、触れているのに触れていないくらいの軽い指先で、何度も何度も、執拗(しつよう)に撫ぜる。
それだけなのに、太腿から腰からじわじわと熱が上がってきて、体全部を蝕(むしば)み始める。
「んんっ・・・誕生日プレゼント・・早くっ」
「この旅行がプレゼントのつもりなんですが・・・」
「足りない・・・ああっんんっお前が・・・欲しいっっ」
「もうとっくの昔にオレは貴方の犬(もの)じゃないですか」
珀英の手が指が、絶妙な動きでオレの太腿を撫ぜて、ゾクゾクする快感が少しずつ強くなって、背中を這い上がって脳味噌を侵してくる。
珀英の指が太腿だけじゃ物足りないのか、ゆっくりとお尻の方に上がってきて、そのまま下着の中に入ってきて、いつも珀英を受け入れている小さな穴をなぞった。
「あっ・・やぁあん・・」
思わず、声が漏れた。
珀英はもう片方の指をオレの口元に持ってきて、そっと口唇を撫ぜられる。
口唇の筋を撫ぜるように上下にくすぐるように撫ぜて、柔らかさを堪能するように、軽く押したり横に滑らせて、指の先端だけを口の中に入れて、下の前歯を下に押されて口を開かされる。
オレはその状態で、口唇を横に引いて、笑った。
珀英の太い無骨な誘う指を、舌を差し出して舐めた。
唾液をたっぷりのせて、珀英の太くて長い指を、根元から指先にかけて、ねっとりと。
舐める。
徐(おもむ)に根元まで咥えて、吸って、たっぷりと濡らしてあげると、珀英が少しずつ呼吸を荒くしながら、興奮した面持(おもも)ちでオレを眺めて、うっすらと笑う。
そうやって珀英の指をしゃぶっていたら、オレはもう我慢できなくなって、自分で下着を脱いで床に放った。
珀英は嬉しそうに微笑みながらそれを見て、オレが濡らした指をそのままオレの穴に、ゆっくりと差し込む。
入り口の所を、浅く早く抜き差しして、固く閉ざしていた部分を、珀英の指がゆっくりと解(ほぐ)していく。
「ああっんんっっ・・・珀英・・・もっと」
「緋音さんっっ」
「んんっっ・・・もっと全部・・・全部寄越せ・・・」
オレの中が少しずつ熱くなって、蕩(とろ)けてきたのか、珀英の指が増えて更に奥まで、根元までずっぷりと入ってくる。
痛みは感じなかった。
ただただ、珀英の指が中で蠢(うごめ)いて、気持ちいい所を刺激してくれて、ゆっくりと抜き差しされて、少しずつ少しずつ快感が蓄積していく。
内部(なか)の一番気持ちいいところ。
珀英の指が一番よく知っている箇所を、何度も何度も擦られて、たまに強く押されて。
やばい・・・イキそう・・・。
まだ珀英の太いのを挿入られたわけじゃないのに、指だけなのに。
その指が前立腺のところを的確に刺激してきて。
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