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α性の両親から生まれたからって、生涯の伴侶を勝手に決めらるなんて・・・俺からしちゃ、マジかよ?って感じ。 俺は・・・そんなの絶対に認めないし、『わかりました』って聞き分けよく肯くなんてまっぴらごめんだ! 親同士が勝手に決めた相手と結婚とか、番とか・・・マジ、ありえないし、時代錯誤もいいとこだろ? 俺は断固、それを拒否する為に・・・親には秘密でとあるプロダクションのオーディションに申し込みをしてやった。 あの時は父も母も、酷くその件で『勘当だ!出て行け!』とか言って怒ったけど・・・妹と弟が親の決めた相手と婚約したら・・・ピタリと俺には何も言わなくなった。 『お前は好きにすればいい』だってさ。 だから俺は・・・あなたを選んでいい? αの俺の血と俺の心が求めるあなたを。 小学校で習う性教育ではまず、男女以外にこの世界には6種類の性別がありますからだ。 通常の男女性のほかに、α性・β性・Ω性が存在します。 なので男女と言う性別以外にα男・α女・β男・β女・Ω男・Ω女の6種類の性が存在することになります。 その中で一番多いのはβ性です。 これをクラスの中で考えると、α性の生徒が1~2人、Ω性の生徒は1人いるかいないかで後はβ性の生徒になります。 α性男女とΩ性男女をバース性と言います。 α性は男女問わず、バース性ならば妊娠させることができます。 Ω性は男女問わず、α性の子を妊娠することができますが、Ω男は男性器を持っていてもΩ女を妊娠させることは出来ませんし、またβ男は男性器を持っていてもΩ性男女を妊娠させることはできません。 つまりは、Ω性男女はα性男女とカップルになった時のみ、妊娠することが可能な性別となります。 バース性はバース性同士のカップルであるα男×α女、α男×Ω女、α男×Ω男、α女×Ω女、α女×Ω男の5パターンのカップルから誕生します。 バース性は遺伝ですが、稀にβ性のカップルからバース性が誕生することがあります。 それはには条件があり、α男×β女カップルからか、過去にバース性から誕生したβ性の家族がいるβ性の男女カップルからのみです。 β性はβ性カップルだけでなくバース性カップルからも誕生します。 この場合、バース性からβ性が誕生するのは約30%の割合だと言われています。 ・・・ってざっくりとした性教育を小学生で習う。 で・・・こっからは中学入学式当日に式が終わた後、講堂に残された新入生だけで必ず習う性教育。 これにはΩ性のフェロモンが強く係ってくるから、世界各国で決められた・・・言わば全世界共通の性教育になるらしい。 この世界には男女性以外にα男・α女・β男・β女・Ω男・Ω女の6種類存在することは小学校の性教育の時間に習ったとは思いますが、更に詳しく人口比率で見ると、β性が最も多く80%、次にα性が15%、最後がΩ性で5%。 α性男女とΩ性男女をバース性と呼ばれる事も既に習ったと思います。 正式な婚姻が認められるカップルとしてはα男×α女、α男×Ω女、α男×Ω男、α女×Ω女、α女×Ω男、α男×β女、β男×α女、β男×β女の8パターンのみです。 それ以外のカップルに関しては国によって違いがありますが、残念ながら日本ではβ男同士、β女性同士とΩ性同士の婚姻は認めていません。 この3カップルでは妊娠並びに出産が不可能だからと理由づけられています。 Ω性は10代後半頃から、3ヶ月に1度の周期で発情期がきます。 発情期をヒート期間とも呼び1週間ほど続きます。 ヒート期間中は制御剤を服用していないと、発情以外ほぼ何も出来なくなります。 制御剤を服用せず、ヒート期間のΩ性がα性と性交を行うと妊娠する可能性が高くなります。 Ω男は腸の一部に子宮の代わりとなる場所があり、そこで胎児を育て出産出来る為、ヒート期間中のΩ男は肛門から膣分泌液のような粘液が出ますが、病気からくるものではないので心配する必要はありません。 ここからが一番重要な話になります。 ヒート期間中のΩ性男女共にフェロモンと呼ばれる特殊な香りを身体から発します。 α性を誘う為にフェロモンを発すると言われていますが、このフェロモンはβ性男にも有効な場合も多く、発情期中のΩ性は外出を控え、妊娠を望まない場合は制御剤を必ず服用するようにします。 制御剤を服用する事によってフェロモンは軽減されますが、番と呼ばれる一生涯のパートナーとなるα性と性交を行わない限りΩ性は、番になったα性以外のα性男女はもちろん、β性男に向けられてもフェロモンを発してしまう為、日本ではΩ性だと判明した場合、20歳までは制御剤を服用する事が義務付けられています。 これは望まない妊娠などを避ける為です。 フェロモンについて付け加えて説明すると、α性と番になればその番になった相手にのみフェロモンは作用され、番以外のα性男女やβ性男にはまったく作用しなくなります。 各国でやや差がありますが、日本では第二次性徴期となるこの中学校入学時に性別判定の検査を受けることになっています。 約1ヶ月後に結果が自宅に送付されます。 その際にΩ性と判明した場合は専門病院受診し、制御剤などの説明を受けに行きます。 捕捉のような形になりますが・・・通常、婚姻と言う形をとって夫婦となりますが、α性男女とΩ性男女のカップルのみ番という言葉で表現されます。 Ω性男女は一度でもα性男女と性交渉を持つと、そのα性男女以外と性交渉が出来なくなってしまい、Ω性男女にとって初めての性交渉の相手が一生涯の伴侶となることから、α性男女とΩ性男女のカップルを特別な名称で番と呼ぶことになっています。 番になる方法としては性交渉時にα性がΩ性の項を噛むという特殊な行為もあります。 この番はα性からのみ一方的に解除することが可能ですが、解除されてしまったΩ性は絶望のあまり自ら命を絶ってしまう場合が少なくないので、α性男女はカップルの相手としてΩ性男女を選ぶ場合、責任ある行動をとりましょう。 ・・・と、こんな感じの性教育を入学式が終わった直後に新入生全員で、壇上の保険医から如何にもテキスト読んでますって感じで30分ほど聞かされるわけ。 それから性別検査の為に、口腔の細胞と血液を採取されるってのがお決まりのパターンなんだけど・・・まぁ、俺はα同士の両親から生まれてるから、ほぼほぼバース性確定と言うか・・・α性同士とか番って呼ばれる両親から生まれたって事はその・・・家もそれなりに裕福だから、生まれた時に性別判定の検査は受けてる事が多いんだよな。 だから・・・俺は物心ついた時から自分がα性だってのは知ってたし、所謂バース性の両親を持つってことは・・・世間的にそれなりの地位とか財力とか・・・約束されてるようなもんで。 俺ん家みたいにα同士の両親からα性として生まれればそれはもう・・・将来がある程度決まってるって感じだ。 α性はそもそも生まれながらにリーダー気質とか備えてたり、頭脳・肉体共に優れている。 その上、社会的に成功している割合も高いとくれば・・・それなりの地位や財力があるのは当たり前で。 かなり費用がかかるこの性別判定も、中学校入学を待たず、生まれて直ぐに受けさせることが多い。 まぁ、それには意味もある。 バース性は遺伝だから、バース性の誕生する家は大体決まっているのに対し、俺ん家みたいなα同士で結婚ってパターンは少なく、子孫にバース性を望む場合はΩ性と番という形で夫婦になることが殆どだから、α性同士で結婚させようと思ったら親も必死なわけで。 バース性同士のカップルには独自のネットワークみたいなもんが存在するらしく、そん中でもα同士で結婚させたいってなると難易度が跳ねあがり、我が子の夫・妻候補を生まれた時から探しておく必要があるらしい。 だからかどうか、知ら ねぇけど・・・α性同士で結婚させたいってのは親のエゴみたいなもんだと俺は思う。 我が子はこんなに素晴らしい気質を持って生まれてきてるのだから、もちろん伴侶もそうでなければならないし、地位も財力も全てはα性のおかげ・・・そんなα性に生まれてきたが故の優越感の賜物なんじゃないかと思う。 そう言う訳でα性同士に拘ればかなりの難易度になるけど、バース性同士の番ってパターンもΩ性はα性より人口割合が低いから、それはそれで番相手を探すのが大変らしい。 ただ・・・Ω性自体、子孫繁栄の為だけに誕生したって言われても過言じゃないくらい、厄介な発情期ってもんがあるから、α性の子に番になるΩ性の子を探すのはα同士で相手を探すよりは楽だそうだ。 それはΩ性特有の発情期のせいで社会進出が難しいって言われていたからだと思うけど・・・それもひと昔前の話だ。 今じゃ、新薬とか・・・制御剤も毎日飲み忘れさえしなければ、ほぼ間違いなく発情期を抑えることができるのもあるらしいから、態々自分からΩ性ですと名乗り出ることも少ないんじゃないかな。 ・・・と言っても、バース性同士のカップルから生まれたΩ性の場合、だいたいが親の言いつけを守って番になるケースが多いから、結局・・・学生の時に出会わなければ、社会にでてからΩ性に出会うことはまず、皆無って感じ。 出会うとすれば・・・β性のカップルから生まれたΩ性だろう。 けど・・・只でさえ、バース性自体が少ない中、バース性から生まれたΩ性ではなく、β性のカップルから生まれたΩ性に出会うなんて・・・半ば都市伝説みたいなもんだ。 だから・・・オーディションに受かってアイドルとしてデビューして、α性の癖にあまりにも振り覚えの悪い俺にあなたが居残って振り移しをしてくれた後、二人っきりのレッスン室であなたから香ってきたフェロモンに、フラフラと誘われるようにしてあなたに抱きついてしまうまで、俺はあなたがΩ性だなんて考えたこともなくって。 その時、気付いた。 彼から僅かに香るフェロモンの性で振りが覚えられなかったんだと。 あなたが困ったように笑って 「圭クン、ごめん・・・オレ、今日・・・薬、飲み忘れてたみたい」 そう言って 「オレさ・・・Ωなんだよね」 ・・・って告白された時既に遅しで。 あなたはどうなのか知らないけど・・・俺はあなたに恋をした。 初めてΩのフェロモンを嗅いだα性は、そのΩに一目惚れするって聞いたことがあったけど・・・その通りだ。 その場であなたの・・・聡くんの項に噛みつきながらSEXしたいと思ってしまう俺。 今まで一度も・・・そんな・・・性の対象としてあなたをみたことなんてなかったのに。 頭のどっかで「制御剤ってマジ、凄い」と思いながらも、俺は下半身の熱をどうすることもできず、聡くんをその場に押し倒してしまった。

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