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第1話

疼く.... 疼いて仕方ない....。 指で慰めてみてもイイ所には届かず、中途半端感が否めない。 俺、吉川弘樹は高校から大学生の今まで、互いに初めて同士だった彼氏、孝一と破局した。 それが約一ヶ月前。 高校の頃なんかは盛りの着いた猿か、て程に毎日ヤリまくった。 別れる前も高校時代に比べたら回数は減ったものの、それなりの性生活を送っていた。 ふと閃き、ゲイビの動画から、アダルトグッズの販売のHPに切り替えた。 「....目から鱗じゃね?」 目を見開き、画面越しに商品を品定め。 購入しよう、とカートに入れようとして、また、は、と閃いた。 「....届くの数日後じゃね?」 間に合わねー! 今すぐ欲しいんだ! どれもこれも、元彼の洋介のせいだ! アイツはタチだから扱けばそれで済む。 ウケにされてた俺は...自分の指で足りる訳がない! 最初のうちに俺がタチになってたら違ったかな.... て、考えても、既に遅し。 ふと思いついたのは、隣町にあるアダルトショップ。 通りかかって外観を見ただけだが.... 「....バイブ買ってる男、てどうなんだ....?」 店員や客に、ゲイだとバレないか? 暫く、思考を巡らす。 「あ、でも、待てよ...」 顎を抑え、宙を仰ぐ。 ノンケの大学の友人が、おふざけを兼ねて、彼女にローターを購入したとか言ってたな.... その後までは知らないが、彼女へのプレゼント、て面して買いに行けばいいんじゃ.... 「....俺は天才か!」 早速、部屋着から私服に着替え、財布とスマホ、車のキーを持ち、足早に部屋を後に、夕飯前にはスッキリしよう、と夜の七時過ぎに車を走らせた。 ◆◆◆ 「いらっしゃいませー」 自動ドアを抜けると控えめながら、愛想のいい、店員の挨拶にふと、顔を向ける。 私服にショップの制服代わりなのか?エプロン姿の.... 「....イケメン」 思わず、ポツリ、呟いた。 失礼だが、いかにも、モテなそうな奴が店員してるもんかと思ってた。 彼は俺の視線に気づき、優しく微笑んだ。 ヤバい、あんま、まじまじ見てたらバレかねないかな。 ....まあ、ノンケだろうけど。

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