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第2話
食べ終えた頃に制服から私服に着替えた隼一が笑顔を浮かべ、席へとやって来た。
中学の頃も細身ながら背丈はあったけど、変わらず、脚も長く、スタイルがいい。
歩く度に揺れる少し長めの漆黒の髪、屈託のない笑顔に否応なしに視線を奪う。
「どう?美味かった?」
「美味かったです、て、紹介しろよ、灯真」
「紹介、て言われても....」
「中学以来だよな、面と向かって話すのって。高校の時はなかなかタイミングが合わなかったから」
隼一を見ずにストローで気を紛らわす為にアイスコーヒーを啜った。
「中学以来?喧嘩かなんかしてたとか?」
「いや、そういう訳じゃないんだけど、すれ違ってばかりいて...俺も飲み物、頼んでもいいかな」
そうして、隼一もアイスコーヒーを頼んで、俺のセフレの明文はすっかり、隼一に気持ちを奪われてやがる。
....隼一はノンケだってのに。
隼一はスマホを取り出し、自分のQRコードを俺に見せた。
....また同じ事を繰り返すのか?
また、隼一に勝手に恋をして、勝手に傷ついて...。
俺は席を立った。
「ご馳走さま、俺たちはこの辺で。待たせちゃったし」
足早にレジへと向かった。
暫くして、明文が追いかけて来た。
「つか、その態度なんだよ、いい奴っぽいのにさ」
「....お前は何も知らないから」
「本当は腹黒いとか?」
「違う、あのまんまだよ...早く行こ、俺んち」
タクシーを拾い、明文が乗る前に車内に身を投げ座った。
俺のマンションで、情事を終えたものの、納得がいかないのか、やたらと明文が粘って聞いてきて...話すしか無かった。
封印した過去。
二度と開きたく無かった、開くことはないと思っていたパンドラの箱。
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