5 / 22
第5話
「んじゃ、俺、帰るわ。シャワー借りるな」
「泊まってかねーの?」
「んー、今日はやめとく」
そうして、明文は浴室へ消え、一人、ベッドに取り残された。
膝を抱えて頬杖をつき、暫く、物思いに耽った。
虐めが無くなったのは隼一のお陰、それは間違いなくて....。
ちゃんと分別をつけて、そこは感謝するべきなのかもしれない、とも思う。
明文が、
「じゃ、またな」
と部屋を出ていき、俺もシャワーを浴び、ふと、テーブルに視線が行った。
スマホが点滅していて、二件来ていた。
一件は明文。
「ぶつくさ考えてねーで、逃げんのは楽だろうが、行動を起こせよ」
あっかんべーと舌を出したおどけたスタンプと共に、明文が代わりに聞いたんだろう、隼一の連絡先。
もう一件は隼一。
「怒ってるのか?俺が怒らせることをしたのなら謝りたい。ずっと思ってたんだ。ごめん」
避けてきた事で、隼一は誤解し、俺を怒らせた、と思っていることに気づいた。
....彼女と一緒にいる隼一を見たくない、そんな俺の身勝手で我儘な気持ちのせいで....。
「謝らないで欲しい。謝りたいのは俺の方だから」
自然と、そう、返信すると、すぐに既読がついた。
「直接、会えるか?」
暫し考えた後、
「今日は無理だけど、大丈夫」
それから、少しづつながら、たわいない連絡をし合った。
「隼一とはどうなった?」
変わらず、俺とセフレの関係の明文が尋ねてきた。
「うん...」
「まあ、彼女がいた、てことはノンケだろうけど、悪い奴じゃなさそうだし。もし告ったとしても友人で居れるんじゃね?」
なんだか胸がざわついた。
友人のままで....か。
それ以上を期待したらいけない。
また傷つくだけだ。
ともだちにシェアしよう!