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第5話

「んじゃ、俺、帰るわ。シャワー借りるな」 「泊まってかねーの?」 「んー、今日はやめとく」 そうして、明文は浴室へ消え、一人、ベッドに取り残された。 膝を抱えて頬杖をつき、暫く、物思いに耽った。 虐めが無くなったのは隼一のお陰、それは間違いなくて....。 ちゃんと分別をつけて、そこは感謝するべきなのかもしれない、とも思う。 明文が、 「じゃ、またな」 と部屋を出ていき、俺もシャワーを浴び、ふと、テーブルに視線が行った。 スマホが点滅していて、二件来ていた。 一件は明文。 「ぶつくさ考えてねーで、逃げんのは楽だろうが、行動を起こせよ」 あっかんべーと舌を出したおどけたスタンプと共に、明文が代わりに聞いたんだろう、隼一の連絡先。 もう一件は隼一。 「怒ってるのか?俺が怒らせることをしたのなら謝りたい。ずっと思ってたんだ。ごめん」 避けてきた事で、隼一は誤解し、俺を怒らせた、と思っていることに気づいた。 ....彼女と一緒にいる隼一を見たくない、そんな俺の身勝手で我儘な気持ちのせいで....。 「謝らないで欲しい。謝りたいのは俺の方だから」 自然と、そう、返信すると、すぐに既読がついた。 「直接、会えるか?」 暫し考えた後、 「今日は無理だけど、大丈夫」 それから、少しづつながら、たわいない連絡をし合った。 「隼一とはどうなった?」 変わらず、俺とセフレの関係の明文が尋ねてきた。 「うん...」 「まあ、彼女がいた、てことはノンケだろうけど、悪い奴じゃなさそうだし。もし告ったとしても友人で居れるんじゃね?」 なんだか胸がざわついた。 友人のままで....か。 それ以上を期待したらいけない。 また傷つくだけだ。

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