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第13話
キス以上を、とも思うけれど...
「俺、けじめ付ける、明文と...そしたら...」
じっ、と俺の瞳を見つめたまま、隼一は俺の話しに耳を傾けてくれた。
「そしたら、付き合って...くれないかな、隼一」
思い切っての告白、顔が熱い....。
隼一も何となく顔が赤い気がする。
「俺で良かったら....」
明文を自宅に呼んだが、隼一も一緒にいい?と尋ねて来た。
俺と隼一が並んでいるのを見て、明文は溜息をつきつつ、笑った。
「ごめん、明文、俺...」
「謝るのは俺だろ?隼一に嘘ついて、お前を諦めさせようとした。ついでにお前にもな」
「....それだけ、灯真が好きだ、て事だよね...?」
隼一の困惑した問いに、明文は視線を外し、宙を見上げた。
「ま、どっちがどんだけ、なんて比較なんて出来やしないしな。灯真が選んだのはお前、それが答え。それで充分だろ」
「明文....」
「あ、隼一、言っておくけど」
隼一は瞬きしつつ、明文の言葉を待った。
「お前の働くカフェ。安いし美味いのも、お前が目の保養になんのも変わらないし。変わらず、利用させてもらうから、あのカフェ」
明文のセリフに、隼一は気が抜けたような眼差しを向けた後、声を出して笑った。
「ありがと」
「や、待って、目の保養って言われてんのに」
「いいだろ、別に、目で犯すだけだから」
「駄目だ!犯すな!想像だとしても!」
「妄想な」
俺と明文のやり取りを隼一が腹を抱えて笑い、明文は、
「灯真をよろしくな、隼一」
「ああ」
隼一にそう言い、
「じゃーな、灯真。スペアキー貰う前で良かったわ」
そうして、明文は部屋を後にし...俺の部屋で隼一と二人きりになった。
突如、二人きりになり、互いに緊張し、隼一に至っては、
「いい間取りだな」
そわそわして部屋を見回すし、
「そ、そう?隼一の部屋より狭いかもだけど...」
いざとなると、落ち着かず...。
「...あー、なんか飲む?今更だけど」
「う、うん。何がある?」
「コーヒー、紅茶、ミネラルウォーター...ごめん、麦茶がなくて」
ぷ、と隼一が吹いた。
「麦茶にこだわらなくてもいいよ」
思わず、俺も笑った。
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