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第12話
俺の腕を振りほどき、隼一が立ち上がった。
「 麦茶、お代わり持ってくるな」
セフレがいた、友人と思っていた明文が本当はセフレと知り、隼一に呆れられただろうか...。
冷蔵庫から麦茶のボトルを取り出す、隼一を目で追った。
「 ....俺はさ、偶然にもお前に再会して...あいつと寝てたら、なんだろな、馬鹿らしく感じて...そもそも、俺、男と出来るのか、確かめていただけだったし」
リビングに戻った隼一が二人分の麦茶を注いでくれる。
「 ....俺は....」
「 無理しなくていいよ、灯真。俺の気持ち知ったから、て。俺が好きだったのは昔のことだろ?あの、明文、て奴、いい奴そうだし」
「 ....本気で言ってる?隼一」
「 うん、本気。灯真にはさ、幸せになって欲しいから...」
唇を噛み締めた。
「 ....俺とじゃ、幸せにはなれない?隼一」
隼一の瞳が俺へと移る。
「 ....明文とは終わらせる。隼一とすぐには無理でも...友人としてやり直したい」
隼一は笑った。
「 友人として、か...」
「 それ以上を求めても構わない?」
俺と隼一の瞳が交錯した。
「 でも、俺....」
「 なに?隼一」
隼一が恥ずかしそうに頬を染めて顔を背けた。
「 ....その....男に...抱かれたことはあるけど、逆はないし...」
「 それは俺も同じ...」
隼一の両肩を掴んだ。
「 キス、してもいい...?」
隼一が小さく吹き出した。
「 さっき、されたよ」
「 ちゃんとした奴」
しばらく見つめ合った。
隼一が頷いたのを見計らい、顔を近づけた。
互いに瞼を閉じ、唇を合わせた。
「 ....遠回り、したんだな、俺たち」
唇を離すと、隼一はそう微かに笑った。
「 ...だね」
再び、唇を合わせ、どちらからともなく舌を絡ませた。
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