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第15話

「えっと、あの、さ、隼一」 「ん?」 「いや、あ、明日は大学?」 どう隼一を誘うか、思考を巡らし、視界が泳ぐ。 「え?あ、んと...灯真は...?」 「俺、午後から、その、隼一は....?」 「んと...俺も午後から」 「飯、食ってかない?作るし」 単なる飯の誘いになったじゃねーか、俺のおたんこなす! 「いいけど...な、俺も作りたい」 「料理、出来んの?隼一」 「失礼な。てか、大学入ってから、自炊始めたばっかだし、灯真には負けるかもだけど」 へー、隼一の料理、食ってみたいかも。 「あ、そうだ」 「ん?」 「同じ具材で、それぞれ別の料理、作る、てのはどう?」 「いいな、それ!出来たら、審査員的な奴、欲しいけど」 俺の提案に隼一も乗り、いざ。 キッチンに向かったものの、冷蔵庫、開けたら、ろくな材料が無く、近所のスーパーに買い出しに出かけた。 肩を並べてスーパーを回る、て、なんかカップルみたいでいいな。 ...て、待てよ? 俺、まだ、きちんと告ってないし、告られてもなく無い...? 「どしたー?灯真」 立ち止まり、顎に指を置き、はて、と空を仰いでいた俺は隼一に呼ばれ、慌てて、距離を縮める為に走った。 二人でカートを押しながら、あーでもないこーでもない、商品を見て周り、手分けして、購入した商品を袋に詰めた。 「なに作るの?隼一」 「なーいしょ。灯真は?」 「俺も内緒ー」 と、その時。 いきなり間近で雷が鳴り始め、雨が降って来た。突如の土砂降りだ。 「灯真、こっち!」 軒下に連れ立って走る。 「にわか雨っぽいね」 「だね」 互いに容赦のない雨を降らすグレーの空を見上げ、肩を落とす。 遠巻きに、スーパーの前に立ち尽くす買い物客、車へ走る一部の人達を眺めた。 この雨のせいで、徒歩で行き交う人は居ない。 「止みそうもないな」 隣の隼一が座り込み、俺も膝を抱えた。 「....隼一」 「どした?」 襟元を掴み、キスをした。 「....キス魔?灯真」 隼一が笑う。 「違うし!」 不意に、傘で正面が覆われた。 「....こんな所でイチャつくな、お二人さん」 座り込み、キスをして笑う俺達を傘で隠したのは、数時間前に別れた明文だった。 「....なにやってんの?明文、覗き見?」 明文が呆れ顔になった。 「いや、露出魔か、お前らは。弁当、買いに来ただけだって、ほら」 「なに」 「やる、傘。俺、車だし、相合傘でもして帰れ」 じゃーな、と俺に傘を渡し、走り出す前に、 「丁度良かった!」 隣の隼一が嬉々とした声を上げた。

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