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8 これは、セックスでは?

 星嶋が膝に置いた手で、左右に割り開いた。突然、他人に向けて開脚させられ、驚いて頭が真っ白になる。 (えっ)  あまりに驚いて、声もでない。おれ、いま裸なのに。  当然、星嶋の視線は股間の方を向いている。見るなとか、なんでとか、言いたいことは沢山あったのに、頭が真っ白になって何も言えなかった。  星嶋は恐い顔をしたまま、何故かおれが持ち込んだソープを手に取り、泡の手で尻のほうに手を伸ばす。 (え、なんで?)  何故、急におれを洗おうとしているのだろうか。わけも解らないまま状況にながされていると、指先が尻の穴部分に触れる。 「っ!?」  ビクッと身体を震わせ、混乱のままに視線を下に向けた。  ヒダを撫でられ、ゾクゾクと背筋が震える。そのままヒダを掻き分けて、指が中に入ってきた。 「――っ!」  ソープの滑りを借りて、指がにゅるりと挿入される。そんな場所に指を入れるなんて、何をされているのか解らない。 「あっ!」  引き抜かれた快感に、甘い声が口から出た。星嶋は一度おれを見た。咄嗟に口を手で覆う。  指がぐちゅぐちゅと抜き差しされ、中を弄くる。星嶋の長くて太い指が、中を掻き乱す。 「あ、あっ……」 「気持ち良いんだ?」  揶揄するような声に、顔が熱くなる。  なんで気持ち良いのか解らない。そんな場所。  指が増やされたのを感じ、首を振って星嶋の肩を掴んだ。 「いっ、あっ、星嶋っ……」 「――あんた、俺の名前知ってたのか」  知ってたって、知らないのと同じだ。名前と部屋と、指輪の持ち主であることしか知らない。徐々に情報が増えてるけど。 「やっ、あっ、ああっ!」  ずぷずぷと指を抜き差しされる度、ゾクゾク快感が駆け抜ける。気持ち、良いのだ。お尻の穴を弄られて、気持ちよくなっている。 (な、なんで……っ、なんでぇ……っ?)  訳が解らなくて、涙が滲む。星嶋のせいで、メチャクチャだ。 「あ、あっ!」  ビクンと身体を跳ねらせ、星嶋の肩に爪を立てる。引っ掻いたことに腹を立てたのか、星嶋が指を抜いてしまった。 「あっ! あ――……?」  なんで。止めてしまったのだろう。指を抜かれた穴がヒクヒクと蠢く。物足りなさを感じて、甘い顔で星嶋を見上げる。 「っ……」  ゴクリと、星嶋の喉が動いた。  星嶋はぐいとおれの膝を開いて、足の間に身体を滑らせる。猛った星嶋の性器が、穴に触れた。 (え――)  まさか。  考えるより早く、星嶋は性器の先端を穴に捩じ込んで来た。 「――っう!」 (う、そっ……)  ソープのせいか、ぬるぬるした尖端が穴を割り開いてぬぬっと入り込んでくる。無理矢理押し拡げられる感覚に、一瞬頭が真っ白になった。 「あ――! あっ、あ――んっう」  うるさいとばかりに口を塞がれる。息継ぎ出来ないほど激しいキスに翻弄され、ピクンと身体が震える。  星嶋はその間に鈴口を押し込むと、一気に奥まで貫いた。 「っ、く……! んっ……!」 「キツ……っ」  星嶋もキツそうに顔をしかめる。 (あ、あっ……)  呆然と、自身の状況に戸惑い、ビクビクと震える。  お尻の穴に、星嶋のが刺さっている。腹の中でドクドクと、熱いモノが脈打っていた。 (嘘。嘘……。ちょっと、待って)  おれ、何してるんだろう。  何されてるんだろう。  頭が混乱して、理解するのに時間がかかる。  男女のセックスについて、実のところおれはよく解っていない。女性に性的な興味がないせいで、考えたことすらなかったからだ。けど、男同士のセックスについても、よく解っていなかった。おれの性知識は中学生以下である。  だって、困らなかったんだ。不便もなかったし。  ようやく思考が戻ってきて、愕然となる。 (――これは、セックスでは?)  おれってばもしかして、ファーストキスどころか初めても星嶋に奪われたってこと――?

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