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25 芳の部屋で
芳の部屋は、同じ造りの寮の部屋とは思えないほど、スッキリとセンス良く纏まっていた。落ち着いた色のインテリアで統一され、アメリカンカジュアルなアクセサリーが配置されている。アイドルオタクのせいでどうしてもポップでカラフルになりがちなおれの部屋とは、雲泥の差である。
まあ、おれは自分の部屋の祭壇とか、結構気に入ってるけどね。
「へぇー、おっしゃれー」
「ま、好きなもん置いただけだけど。寮の部屋狭いしな」
「でもスッキリしてるじゃない」
「お前、物多いもんな」
そうなのよ。グッズとかDVD、CDと揃えてると、結局置き場がないのよね。運営さんにはCDのサイズを統一して貰いたいもんだ。ボックス入りの特装版は、毎回大きさが違うので、収納に一苦労である。なにしろ、同じCDを二十枚以上買うので。(『ユムノス』は5人チームなのだが、4形態リリースされる。つまり特典は20種類以上なのだ! ランダム封入だから20枚買ってもコンプ出来ないぞ☆)
「荷物を考えるとアパート借りた方が良さそうなんだけど、寮のご飯美味しいし安いからね。ギリギリまで居座るつもり」
レンタルスペースを借りるとか、色々手段はありそうだけど、今のところ考えていない。グッズは手元にあってこそだし。
部屋を物色していると、背後から芳が近づいてきて手首を掴んだ。
「見学はその辺で良いだろ」
「あら」
顎をつかまれ、上向きにされる。そのまま口づけされ、ピクッと瞼を震わせた。
「ん……っ」
唇を舌で舐められ、こじ開けられる。もしかしたら、部屋に誘っただけかも知れないと思ったが、そんなことはなかったらしい。
部屋に来ることはすでに、同意したと同義なのか、確認もされずに腰をまさぐられ、キスが深くなる。
「んぁ……、ん……」
あっという間に身体が火照って、臨戦態勢になっている自分にびっくりする。昨日もしたというのに、どうしてまた欲しくなるのだろうか。
「芳……、っん」
「こっち、ベッドの方に」
引っ張られ、ベッドの方に移動する。その間も、何度もキスをした。
ベッドに座らされ、ハァと息を吐く。身体が熱い。チラリと時計を見たら、まだ午後三時だった。肌を合わせるには早い気がしたが、今さらやめようと言う気にもならない。
「悠成」
芳の手が髪を撫でる。ベッドに座ったおれの目の前に立ち、芳はズボンの前を寛げまだ反応の薄い性器を取り出す。
「舐めて」
眼前に突き出され、ビクッと肩を揺らす。舐めろというのは、何か。ナニか。
ドキドキと心臓が高鳴る。ごくり、喉をならして恐る恐る手を伸ばした。
「……っ、ふ」
息がかかったのか、芳が目を細めた。舌先を伸ばし、先端をペロリと小さく舐める。
(これが、芳の)
いつもコレにやられてるんだと思うと、妙に興奮した。ペロペロとぎこちない様子で舐めているうちに、徐々に硬度を増してくる。おれの拙い技でも感じてくれているのだろうか。
「っ……」
小さく息を吐き、芳はおれの髪を撫でる。心地よさに目を細め、先端をチクチクと舐めてやった。
「……あんま、やったことない?」
「うん。……ゴメン、下手で」
「いや……。口、咥えられる?」
促され、おずおずと口に咥える。歯が当たらないようにしながら、怖々と奥まで含んでいった。
「舌も、使って」
言われるままにじゅぷじゅぷと口で愛撫する。気持ち良いのか、芳の性器はすっかり硬くなり、先端から蜜を流している。
だんだん慣れてきて、吸ったり舐めたりしながら、口淫を繰り返した。
(口のナカ、擦れて……)
口を弄られると気持ちが良い。キスも良いが、こうされるのも良いのだと初めて知った。
ドキドキして、気持ち良くて、酷く、興奮する。
「んぁ……」
じゅぽと唇を離し、竿を舐める。どうしたら気持ち良いか、どうしたら喜ぶか、そんなことを考えながら、唇を寄せた。
「っ、上手い、じゃん」
「ん、そう」
上手くはないだろうが、雰囲気でそう言ったのだろう。手で根元を刺激しながら、先を口に含む。
「くっ……、悠成っ……」
ビクッと、芳の性器が震えた。あ、と思ったときにはびゅくびゅくと弾け、口からずるりと飛び出し、顔に精液が掛かる。
「っ」
前髪から頬にかけて、精液がべったり付く。唇もぬるぬるだ。
「ちょっと……」
「悪ぃ」
口では「悪い」と言っていたが、芳の顔は笑っていた。親指でおれの顔を拭いて、そのまま顔を寄せる。
唾液と精液が混ざったキスは、ぬるぬるして気持ち良い。腕を回してキスを受け入れると、芳の手がシャツのボタンを外していった。
「あ、ん……、芳……」
まだ明るいと言うのに、素肌を晒され、恥ずかしくなる。薄いレースのカーテンは引かれていたが、心もとなかった。
「ね、カーテン……」
カーテンを閉めた方が良いと訴えたが、芳の指は既に乳首に伸びていた。
「見えねぇよ」
「んぁっ」
弄くられ、ピクンと反応する。むず痒いような、痺れるような鈍い快感に、思わず芳の腕に爪を立てた。
「痛てーって」
「なんで、そこっ……」
「俺が好きだから」
そう言って芳は、乳首を口に含んだ。ちゅうと吸い、舌先でチロチロと刺激される。かと思えば、快感の鈍い乳輪を舐め、焦らすように弄ぶ。
「あっ、ん」
「赤くなってら」
揶揄するように言われ、カァと顔が熱くなる。
まだ日も沈んでいないのに、寮内の部屋で乳首を吸われているとか、考えたらくらくらした。休日の寮は人通りがあるせいか、遠くで廊下を行く足音が聞こえる。
緊張と背徳感に、心臓がどうにかなりそうだ。
「ん、ふっ……、ぁん、芳っ……もっ……」
潤んだ瞳で、そこばかりでは嫌だと訴えると、芳は口許を緩めてズボンの方に手を伸ばした。パサリと音を立てて落ちる服の音が、やけに大きく感じた。
「脚、開いて」
「っ、ん……」
恥ずかしいが、言われるままに脚を開く。顔から火がでそうで、ベッドに顔を埋めた。芳の匂いに、心臓がドクドク鳴り響く。
「もう勃ってんじゃん」
「あんまり、見ないで……」
恥ずかしさに瞳を閉じても、芳がどこを見ているのか、視線で解ってしまう。観察するようにじっくり見つめられ、顔から火が出そうだった。
「芳っ……!」
怒った声音を出すと、軽く「悪い、悪い」と返ってくる。絶対に悪いと思っていない声だ。芳ってそういうところがある。
くちゅ、と耳慣れない水音がして、思わず目を開ける。いつの間にか芳はローションを手にしていて、濡れた指を窄まりに押し当てるところだった。
ぬぷ、と指が挿入される。ぐちぐちと指を抜き差しされながら内部を解され、知らず腰を捻る。
「んぁ、芳……ん」
「昨日ヤったせいか? すげー、柔らかい」
「……ばか」
ずるんっと指を引き抜き、芳が肉棒を押し付ける。先ほどイったはずなのに、芳の性器はまた硬くなっていた。
「挿れる、からな」
「ん」
ぐっと先端を押し込めるようにして、芳が入ってくる。昨夜の続きのようなセックスに、自然と身体が開いているようだった。
「あ、あっ――」
ゆっくりと挿入され、ビクビクと身体を揺らす。ぐい、と太腿を押さえつけられ、芳が奥まで入ってきた。尻に芳の脚が当たっている。深く、深く貫かれたのだと感じて、じわりと胸が熱くなる。
「芳っ……、キス……」
自らキスをねだると、芳は目元を赤くして、唇を重ねた。ちゅくちゅくと舌を絡めあい、舌を貪る。ドクドクと性器が脈打つのが、腸壁から感じられた。
「あ、あっ……」
やがてゆっくりと、芳が動き出す。揺さぶるように突き上げられ、ナカを掻き回すように腰を揺らす。
「こうすんの、好きだろ?」
「あっ、あ、好きっ……、それ、あん、あっ」
良いところを擦られ、甘い声をあげる。脚を芳に絡め、背中に腕を回す。
「あ、あーっ、あっ……!」
おれは、この男が与える快楽が好きなのだと。そう思い知りながら、快感に身を委ねた。
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